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リオ開幕前の評価は“よくてB+”。五輪3連覇のアメリカ代表、“トップ選手不参加”の悪しき風習は東京で再燃するか?

出野哲也

2020.08.31

エースの役割を全うしたデュラント。見事に3連覇を果たしたアメリカだったが、“トップ選手不参加”の悪しき風習も戻りつつあった。(C)Getty Images

 "よくてB+"――。リオ五輪開幕前、スター選手の不参加が相次いだアメリカ代表チームにつけられた評価だ。

 実際に予選ラウンドは苦戦続きだったものの、決勝トーナメントでは他国に実力差を見せつけ金メダルを獲得。見事3連覇を果たし完全に復権した一方で、"ベストメンバーでなくても勝てる"との悪しき風潮も戻りつつあった。

■金メダルの大本命とされるも、大会前の評価は"B+"

 2008年の北京五輪、2012年のロンドン五輪はいずれも全勝で頂点に立ったアメリカ男子バスケットボールチーム。屈辱の銅メダルに終わった2004年のアテネ・オリンピックから見事に復権を果たし、3連覇が懸かった2016年大会でも、金メダルの大本命として開催地のリオデジャネイロに乗り込む予定だった。
 
 だが、過去2大会でリーダー役を務めたコビー・ブライアント(元ロサンゼルス・レイカーズ)は直前のシーズンに現役を引退したばかりで、レブロン・ジェームズ(当時クリーブランド・キャバリアーズ/現レイカーズ)も疲労の蓄積を理由に代表に参加せず。2年連続でシーズンMVPに輝いていたステフィン・カリー(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)も、足首とヒザの具合が思わしくないとしてメンバー入りを辞退した。

 そのほか、クリス・ポール(当時ロサンゼルス・クリッパーズ/現オクラホマシティ・サンダー)やジェームズ・ハーデン(ヒューストン・ロケッツ)、ラッセル・ウエストブルック(当時サンダー/現ロケッツ)らも似たような理由を挙げてブラジル行きを拒否。前シーズンのMVP獲得票数上位4人、そしてオールNBA1stチームに選ばれた5人中4人が欠ける非常事態となってしまった。

 政情不安なブラジルでの開催とあって、もともとテロなどの危険性が指摘されており、さらには2016年に入ってから現地で感染症のジカ熱が流行していたせいで、"ステイホーム"を選択する選手も増加。前回大会から引き続き参加したのはケビン・デュラントとカーメロ・アンソニー(当時ニューヨーク・ニックス/現ポートランド・トレイルブレイザーズ)の2人のみで、北京やロンドンと比べれば格落ち感は否めず、『スポーツイラストレイテッド』誌は「ドリームチームと呼ぶには遠く及ばない。Bチーム、甘めに評価してもB+といったところ」と手厳しかった。
 
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予選ラウンドは苦戦の連続に