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夢のNBA入りに前進した馬場雄大!マーベリックスと結んだ“エキジビット10契約”とは?

鈴木栄一

2019.09.26

マーベリックスと契約に至ったとはいえ、開幕メンバーに残れる保証はない。今季は傘下のGリーグが主戦場になりそうだ。(C)Getty Images

 先日、日本代表の馬場雄大がNBAのダラス・マーベリックスと契約合意に達したことが発表された。ただ、現時点で明らかになっているのはトレーニングキャンプに参加することのみで、キャンプ終了後の去就は未確定となっている。

 現在のマーベリックスの契約状況を見ると、すでに保証された契約を結んでいる選手が15名。そして、2WAY契約※の選手も上限の2名と契約済みと、いずれも制限一杯となっている。現状、馬場が合意しているであろう契約内容は、"Exhibit 10"(エキジビット10)と見られている。

※2WAY契約=NBA傘下の育成リーグであるGリーグのチームに所属しながら最大45日間、NBAチームで活動が可能。1チーム同時に2名まで契約可。

 エキジビット10契約を結んだ場合、チーム側が開幕までにその選手を2WAY契約に切り替えることが可能となる。また、開幕ロースターの17名(本契約15名、2WAY契約2名)に残れなくても、傘下のGリーグチーム(馬場の場合はテキサス・レジェンズ)と契約し、60日間在籍すれば最大5万ドル(約535万円)のボーナスを得ることができる。
 Gリーグは、将来のNBA入りが期待される若手選手の育成組織として2001年に誕生した。当初はNBDLという名称で8チームからのスタートだったが、順調に拡大していき、今では大半のNBAチームが傘下のチームを抱えるまでになっている。最近ではGリーグを経験し、NBAでロースターに定着する選手も増えてきている。その一方で、リーグ設立当時から大きな課題となっているのが報酬の低さだ。

 Gリーグの公式ホームページで発表されている2018−19シーズンの平均サラリーは、3万5000ドル(約375万円)。これは、世界のバスケットボール選手の相場においてもかなり低い。NBA選手になるためにはGリーグが最も身近な場ではあるが、一方でお金を稼ぐという視点で考えた場合、海外のリーグに行けばGリーグの年俸の何倍もの額を得られる。そうなると、アメリカの有望なタレントの多くが国外へと飛び出していくのは致し方ないことでもあった。

 エキジビット10契約は、この賃金格差を少しでも是正しようと作られたもので、各チームとも最大6人と契約できる。例を挙げれば、今年セントラルフロリダ大を卒業した身長231センチのタコ・フォールがセルティックスと同契約を結ぶなど、2WAY契約を結ぶまではいかないが、チームが手元において成長具合を見ていきたい若手選手がオファーされる。

 そういう意味では、馬場もマーベリックスから将来の戦力になり得る可能性を持っていると、期待されていることは間違いない。仮に開幕ロースターに残れなくとも、Gリーグで研鑽を積み重ね、夢のNBA入りを目指していくことになるだろう。

文●鈴木栄一
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