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NBA

<2020ベストヒット!>なぜコビーはヘリコプターに乗っていたのか…墜落事故の同乗者や、現地での様子は

大井成義

2020.12.09

コビーが所有していたシコルスキーS-76B。(C)Getty Images

コビーが所有していたシコルスキーS-76B。(C)Getty Images

 2020年のスポーツ界における名場面を『THE DIGEST』のヒット記事で振り返る当企画。今回ヒット記事というのははばかられるが、元ロサンゼルス・レイカーズのコビー・ブライアントの訃報について。プライベート・ヘリコプターの墜落事故でスーパースターを失い、全世界に衝撃が走り、涙にくれた。多くの人々が忘れることができない“その1日”について振り返る。

記事初掲載:2020年1月29日

――◆――◆――

  2020年1月26日、41歳の若さで突如この世を去ったロサンゼルス・レイカーズのレジェンド、コビー・ブライアントのヘリコプター墜落事故について、現在原因の調査が進められている。 

 国家運輸安全委員会によると、調査はまだ初期段階であるそうだが、事故から3日半が経過した1月29日午後3時(日本時間)の時点で、アメリカのメディア各社が報じた最新の情報を元に、事故の詳細および事故当日の状況とその後の経過、そしてコビーとヘリコプターの関係性についてまとめた。

 2018年12月、ロサンゼルスのダウンタウンから西に車で1時間ほど行った小さな町に、“マンバ・スポーツアカデミー”が誕生した。2016年にオープンした“スポーツアカデミー”にコビーが経営参加、リブランディングしたうえで再オープンしたのだった。

 屋内の広さがテニスコート34面分という広大な施設に、バスケットボールコート5面、バレーボールコート7面を備え、他にも様々な競技の施設とプログラムが用意されている。子どもからプロアスリートまですべての人を対象に、パフォーマンスの向上やマインドトレーニングなど、多面的なサポートシステムを取り入れているそうだ。

 1月26日午前、コビーのプライベート・ヘリコプター、シコルスキーS-76B(1991年製、登録番号N72EX)は、コビーの自宅のあるカリフォルニア州オレンジ郡ニューポートビーチ近くのジョン・ウェイン空港から、彼が共同でニューベリーパークに創設した“マンバ・スポーツアカデミー”に一番近いキャマリロ空港へ向かう予定になっていた。

 その日マンバ・スポーツアカデミーでは、子どものバスケットボール・トーナメント大会“マンバ・カップ・トーナメントシリーズ”が開催され、コビーがコーチを努め、ジアナがエースのチーム、レディー・マンバズも参加することになっていた。試合開始は12時。

 ジョン・ウェイン空港に駐機しているシコルスキーS-76Bは、アメリカで1923年に設立されたヘリコプター製造会社、シコルスキー・エアクラフト・コーポレーションによって製造され、非常に高い安全性と信頼性を誇り、エリザベス女王をはじめとする世界中のVIPや企業幹部、医療、警察、報道などの現場でも多く使用されている。
 
 太平洋に面したニューポートビーチは、ロサンゼルスの南東約60㎞、アナハイムの南に位置し、セレブリティーや富裕層が多く住むことで知られる全米有数の高級住宅地。そこからロサンゼルスのダウンタウンまでは、道が空いていれば車で1時間かからないが、悪名高い渋滞に巻き込まれると、2時間からひどい時には3時間を要する。

 それを回避するため、コビーはプライベート・ヘリコプターを頻繁に利用していた。移動の時間を少しでも短縮できれば、そのぶんを家族のために使うことができる。また2012年には、ケガをしたチームメイトのスティーブ・ブレイクを、車では医者との面会時間に間に合いそうになかったため、ヘリコプターに乗せて連れて行ったこともあった。

 2010年に『GQ』誌のストーリーでコビーが語ったところによると、そのシーズンはすべてのホームゲームをヘリコプターで通勤していたという。コビーのヘリコプター利用について、そのストーリーは次のように描写している。

「Hollywoodの看板を遠くにぼんやりと眺めながらの素晴らしい疾走は、ショービジネス界の人たちにとって成功者の証でもある。『見た目はセクシーだが、ヘリコプターは単に身体を維持管理するための道具のひとつに過ぎない』、そうコビーは語る。彼にとって、ヘリコプターはトレーニング用のウェイトやウィールプールバス(ジェットバス)、オーダーメイドのナイキのシューズと何ら違いはない。
 

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