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NBA

抜群の勝負強さを誇った“ミスター・ビッグショット”チャンシー・ビラップス。生粋のリーダーが引退後に歩んだ道とは

杉浦大介

2021.01.18

現役時代のビラップスはリーグ有数のクラッチシューターであり、優秀なリーダーでもあった。(C)Getty Images

現役時代のビラップスはリーグ有数のクラッチシューターであり、優秀なリーダーでもあった。(C)Getty Images

■ピストンズ時代はチームリーダーを務め、04年には強豪レイカーズを撃破し頂点に

 昨年11月16日、“ミスター・ビッグショット”こと、チャンシー・ビラップスがクリッパーズのアシスタントコーチ(AC)に就任することが発表された。

 昨季、カワイ・レナードとポール・ジョージが加入して優勝候補に挙げられたクリッパーズだったが、カンファレンス準決勝でナゲッツに3勝1敗からまさかの逆転負け。その後、ドック・リバースHCの退任が決まり、今オフはACから昇格したタロン・ルーの下、コーチ陣を大幅に入れ替えた。新たに加わったケニー・アトキンソン、ラリー・ドリュー、ダン・クレイグ、ロイ・ロジャースという豪華ACの中に44歳のビラップスも含まれることになった。

「チャンシーのバスケットボールの知識、選手との関係の深さ、ゲームへの理解度などは様々な形で助けになるだろう。クリッパーズにとって大きな雇用だよ。彼ほど正直で信頼できる男はなかなかいない。その人物を信頼し、良い関係を築けるかどうかはコーチとして最も重要な要素だ」。

 クリッパーズ時代のビラップスのチームメイトであり、現在はアラバマ州大でHCを務めるモー・ウィリアムズは『LAタイムズ』の取材にそう述べている。現役時代のビラップスをよく知るファンにはウィリアムズの証言がよく理解できるはずだ。
 
 1997年のドラフト1巡目3位でセルティックスから指名されたビラップスは、17年にわたってNBA長いキャリアを築いた。プロ入り当初はやや伸び悩んだ感もあったが、2002年にピストンズに移籍し開花の時を迎える。04、05年には絶対的司令塔として2年連続でファイナルに進出。数々のクラッチョットを沈め、その活躍により“ミスター・ビッグショット”と称されるようになった。

 特にレイカーズに4勝1敗で圧倒して自身初優勝を飾った04年は平均21. 0点、5.2アシストと大活躍しファイナルMVPも受賞。ラシード&ベンの両ウォーレス、リチャード・ハミルトン、テイショーン・プリンスといった多彩な仕事人を擁したチームを見事に統率し、リーグ屈指のリーダーとしてリスペクトされる存在になった。

■ケミストリーに問題を抱えるチームで生粋のリーダーは役割を果たせるか?

 14年9月に引退を表明するまでオールNBAチームに3回選出され、オールスターには5回出場。とにかく聡明さで知られた選手だったため、いずれコーチ業を目指すことは予想されていたことであった。現役生活を終えてからはESPNのテレビ解説者などを務めてきたが、今オフはペイサーズのHC候補にも名前が挙がった。

 それでも最終的にクリッパーズのACを選んだことは、ビラップスらしいと言えるのかもしれない。リバースの後を継ぎ、今季からクリッパーズの新指揮官となったルーとビラップスは付き合いの長い親友同士だからだ。
 

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