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「悪役を演じようとして…」ウェイドが“ビッグ3”結成初年度に”失敗”した原因を分析〈DUNKSHOOT〉

ダンクシュート編集部

2021.02.09

ヒートのビッグ3は結成1年目からイーストの頂点に立ったが、ファイナルで敗退。ウェイド(中央)は優勝を逃した理由を「悪役を演じようとして、プレーの楽しさが失われてしまった」と回想した。(C)Getty Images

 NBAでは現在、ブルックリン・ネッツのケビン・デュラント、カイリー・アービング、ジェームズ・ハーデンのスーパースター3人衆が大きな注目を集めている。

 過去にもNBAには、ゴールデンステイト・ウォリアーズのステフィン・カリー、クレイ・トンプソン、デュラント、2008年にリーグ優勝を果たしたボストン・セルティックスのケビン・ガーネット、ポール・ピアース、レイ・アレン、サンアントニオ・スパーズのティム・ダンカン、トニー・パーカー、マヌ・ジノビリ、1996~98年に3連覇を達成したシカゴ・ブルズにもマイケル・ジョーダン、スコッティ・ピッペン、デニス・ロッドマンの"三銃士"などがいた。

 そのなかで歴代最強クラスのひとつに数えられるのが、2010年代前半にマイアミ・ヒートに君臨したレブロン・ジェームズ(現ロサンゼルス・レイカーズ)、ドゥエイン・ウェイド、クリス・ボッシュのトリオだ。

 10年の結成から"ビッグ3"擁するヒートは4年連続でNBAファイナルに進出し、12~13年には連覇も成し遂げた。しかし、結成初年度にタイトルを逃がした背景には、スーパースターが一堂に会したゆえの"歪み"があったとレジェンドのウェイドが明かしている。
 
 10年の夏、クリーブランド・キャバリアーズの絶対的エースだったレブロンは、『ESPN』の「The Decision」と銘打たれた番組でヒートへの電撃移籍を発表。その決断と発表方法は瞬く間に批判の対象となり、ファンがレブロンのユニフォームを燃やすなど全米中の悪役となった。それは、トロント・ラプターズでの7年間で平均20.2点、9.4リバウンド、オールスター出場5回を誇っていたなかで、新天地を求めたボッシュも同様だった。

 ヒートの生え抜きであるウェイドの元に、同じ03年ドラフト組の2人が合流した形で誕生した"スリーキングス"は、初年度に58勝(24敗)をあげてイースタン・カンファレンス2位でプレーオフに進出。フィラデルフィア・セブンティシクサーズ、セルティックス、ブルズを破ってファイナルに進出したが、ダーク・ノビツキーを擁するダラス・マーベリックスに2勝4敗で屈して涙を呑んだ。

 ウェイドは元NBA選手のギルバート・アリナスがホストを務める『Fubo Sports』の"No Chill"で、「なぜビッグ3は初年度に苦しんだか?」とのテーマに関して自身の見解を述べている。

「バスケットボールの楽しさが奪われた。悪役を演じようとして、プレーの楽しさが失われたんだ。(結成)1年目は楽しくなかった。『見てろよ!』みたいな感じだったけど、1年中ずっとというわけにもいかないからね」