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セルビア人初のMVPに輝いたニコラ・ヨキッチ。NBA史に残る逸材を育んだ2人のキーパーソンとは<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2021.06.11

セルビア出身のヨキッチは母国のクラブを経て2015年にNBA入り。6年目の今季、同国出身選手初のMVPに輝いた。(C)Getty Images

 NBA2020-21シーズンのMVPに、デンバー・ナゲッツのニコラ・ヨキッチが選出された。投票者101人中91人が彼に1位票を投じ、次点のジョエル・エンビードに385ポイント差をつける文句なしの選出だった。

 今季のヨキッチは全72試合に先発出場し、いずれもキャリアハイの平均26.4点、10.8リバウンド、8.3アシスト。さらに勝利への貢献度を示す「ウィン・シェアーズ」でもリーグトップと、まさに"最も価値のある選手"にふさわしい活躍だった。

 アメリカ外出身者のMVP受賞は、アキーム・オラジュワン(ナイジェリア)、ティム・ダンカン(バージン諸島)、スティーブ・ナッシュ(カナダ)、ダーク・ノビツキー(ドイツ)、ヤニス・アデトクンボ(ギリシャ)に次ぐ6人目。セルビア人では初の受賞者となった。

 そんな彼は、母国セルビアでは「スーパースター」というよりは「みんなの可愛い息子」的な存在だという(一番のスーパースターはテニスのノバク・ジョコビッチ)。北部の小さな町ソンボル出身の彼は、NBAのスター選手になっても、国に帰れば"素朴な田舎のお兄ちゃん"なのだ。
 
 彼のキャリアが拓けるきっかけとなったのは、2012年10月に行なわれたセルビア北部地区のジュニアトーナメントだった。当時17歳だったヨキッチが所属していたボイボディナとパルチザンが対戦した試合で、結果は80-75でパルチザンが勝利したが、ヨキッチは34得点、19リバウンド、5ブロックと大暴れ。次の試合でも38得点、9リバウンド、4アシストを叩き出し、スカウトの目に止まった。

 そのなかの1人が、現在ヨーロッパのバスケシーンで最も力のあるエージェント、ミスコ・ラジュナトビッチだった。

「いつものように週末のスポーツ欄のチェックをしていたら、ジュニアトーナメントですごい数字を出している子がいた。そうして記憶に残っていた彼の名前を、次の週末もまた、ものすごい数字とともに見ることになった。私はすぐにスタッフに電話をかけて、『すぐにこの子と契約してこい!それまでは帰ってくるな』と命じたよ」

 ラジュナトビッチはインタビューでそう当時を振り返っている。
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