専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
NBA

後見人は“神様”ジョーダン。それゆえの苦悩と戦いながら欧州で“宝石”となったコリー・ヒギンズ物語<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2021.06.07

ユーロリーグのセミファイナルでヒギンズが決めた決勝弾は、後見人ジョーダンの“ラストショット”を思わせる一発だった。(C)Getty Images

ユーロリーグのセミファイナルでヒギンズが決めた決勝弾は、後見人ジョーダンの“ラストショット”を思わせる一発だった。(C)Getty Images

 5月28~30日に行なわれたユーロリーグのファイナル4は、トルコのアナドール・エフェスが優勝候補のバルセロナを86-81で下し、初優勝を飾った。

 ファイナル4MVPには、セミファイナルとファイナルの2試合で計50得点、11アシストを記録したセルビア代表ガードのヴァシリエ・ミチッチが受賞。ただ、仮にバルセロナが優勝していたとしたら、間違いなくこの栄冠を手にしていたであろうと思われるのが、同チームのアメリカ人ガード、コリー・ヒギンズだ。

 得点頭であるニコラ・ミロティッチが押さえ込まれたファイナルではチームハイの23得点。最終クォーターの勝負所では、ファウルを誘う3点プレーで同点に持ち込むなど、まさに獅子奮迅のパフォーマンスを披露した。

 何より、ファイナル進出の立役者がヒギンズだ。オリンピア・ミラノとのセミファイナル、残り5秒でスコアは82-82の同点。バルセロナの最後の攻撃でボールを託されたヒギンズは、ドリブルで駆け上がると、トップ・オブ・ザ・キーに到達したと同時に流れるようなモーションでジャンプショットを放つ。高く弧を描いたボールがバスケットに吸い込まれたその瞬間、時計は残り1秒を切り、バルセロナが1ゴール差で決勝進出をものにしたのだ。
 
 その試合の直後から、「“ラストショット”の再現!」という話題がSNSを賑わせた。

 ここで言う“ラストショット”とは、1998年のNBAファイナル、シカゴ・ブルズ対ユタ・ジャズの第6戦で生まれた一発のこと。85-86とブルズが1点ビハインドの状況で、マイケル・ジョーダンが、やはりトップ・オブ・ザ・キーからジャンプシュートを沈め、逆転勝利でチームにリーグ制覇をもたらした決定的なシーンだ。

 状況やシュートモーションのビジュアルが似ていただけでなく、ユーロリーグの公式ツイッターが『Like father, like godson』(父のように、子のように)というキャプション付きで報じたように、ヒギンズとジョーダンの2人は、第二の親子とも言われるゴッドファーザー(カトリックでの洗礼時の代父。名付け親、後継人といった意味も)とその子ども、という関係にあった。
 
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号