バスケットボール日本代表は1976年以来、45年ぶりにオリンピックの大舞台で戦っている。7月26日に行なわれた初戦はスペイン代表に敗れたものの、格上に対して健闘したという声も多いが、はたして日本のパフォーマンスは識者の目にはどう映ったのか?NBA解説者の中原雄氏にスペイン戦の戦いを振り返ってもらった。
◆ ◆ ◆
日本のオリンピック初戦はスペイン相手に77-88。結果を見れば負けだが、世界ランキング2位の強豪相手に随所に良いプレーも見られた。
特にNBAプレーヤーの八村塁と渡邊雄太はスペインのタフなマークを物ともせず、得点を重ねていた。馬場雄大も積極果敢にドライブを仕掛け、第3クォーターに登場した金丸晃輔は短時間の出場ながら持ち味のシュート力を発揮し、リズムをもたらした。チームとしても前半で背負った2桁のビハインドを、第4クォーターに一桁差まで縮めたことは、大きな進歩と言える。
ただ、オフェンス面で八村と渡邊の負担が大きすぎた印象は否めない。この試合では2人で計39得点をマークしたものの、スペインの執拗なプレッシャーディフェンスを受け、何度もタフショットを強いられた。
それでも2人は相手のマークを引き付けることができるため、オープンになった周囲の選手たちには、もっと積極的にシュートを打ってもらいたかった。日本のプレーヤーの多くはミッドレンジに入り込んでもパスを第1に考えており、自らディフェンスの的を絞りやすくしてしまっていた。
スペインの守備のインテンシティが高かったのは事実だが、それでもシュートを打てるチャンスはあった。同じミスでもターンオーバーより、シュートミスの方がオフェンスの終わり方としては断然良い。現在の代表は決してシュート力がないわけではないだけに、もっとシンプルに、もっと我を出してプレーしても良かっただろう。
また個人的にはシューターの金丸を、前半から起用してもらいたかった。チームは第2クォーター序盤に同点に追いついたものの、残り5分からスペインに19連続得点を許し、一気にイニシアチブを取られただけに、あの場面で金丸を出していたら、その後のゲーム展開も変わっていたかもしれない。
ディフェンスでは相手から11本のターンオーバーを誘発するなど内容は悪くなかったが、司令塔のリッキー・ルビオの勢いを止めることができなかった。10代の頃から代表入りし、NBAで10年のキャリアに加え、プレーオフ経験もある30歳のベテランは、試合を通じてどこか余裕が感じられた。そしてフィフティー・フィフティーのボールやルーズボールをことごとく拾われたことも勝敗を分けるポイントとなった。
今後チームはスロベニア、アルゼンチンとの対戦が控えているが、スペインとの初戦で“世界レベル”を経験できたことは大きかった。次戦においてはスペインが日本に対して見せた強度の高いディフェンスを、スロベニアに対して見せないといけない。
短期間の大会でオフェンスは劇的な改善や進化は見込めないが、ディフェンスはメンタルひとつで変えられる。相手選手をイラつかせるようなファウルギリギリのフィジカルなディフェンスと、泥臭いプレーを期待したい。
総括●中原雄 構成●ダンクシュート編集部
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日本のオリンピック初戦はスペイン相手に77-88。結果を見れば負けだが、世界ランキング2位の強豪相手に随所に良いプレーも見られた。
特にNBAプレーヤーの八村塁と渡邊雄太はスペインのタフなマークを物ともせず、得点を重ねていた。馬場雄大も積極果敢にドライブを仕掛け、第3クォーターに登場した金丸晃輔は短時間の出場ながら持ち味のシュート力を発揮し、リズムをもたらした。チームとしても前半で背負った2桁のビハインドを、第4クォーターに一桁差まで縮めたことは、大きな進歩と言える。
ただ、オフェンス面で八村と渡邊の負担が大きすぎた印象は否めない。この試合では2人で計39得点をマークしたものの、スペインの執拗なプレッシャーディフェンスを受け、何度もタフショットを強いられた。
それでも2人は相手のマークを引き付けることができるため、オープンになった周囲の選手たちには、もっと積極的にシュートを打ってもらいたかった。日本のプレーヤーの多くはミッドレンジに入り込んでもパスを第1に考えており、自らディフェンスの的を絞りやすくしてしまっていた。
スペインの守備のインテンシティが高かったのは事実だが、それでもシュートを打てるチャンスはあった。同じミスでもターンオーバーより、シュートミスの方がオフェンスの終わり方としては断然良い。現在の代表は決してシュート力がないわけではないだけに、もっとシンプルに、もっと我を出してプレーしても良かっただろう。
また個人的にはシューターの金丸を、前半から起用してもらいたかった。チームは第2クォーター序盤に同点に追いついたものの、残り5分からスペインに19連続得点を許し、一気にイニシアチブを取られただけに、あの場面で金丸を出していたら、その後のゲーム展開も変わっていたかもしれない。
ディフェンスでは相手から11本のターンオーバーを誘発するなど内容は悪くなかったが、司令塔のリッキー・ルビオの勢いを止めることができなかった。10代の頃から代表入りし、NBAで10年のキャリアに加え、プレーオフ経験もある30歳のベテランは、試合を通じてどこか余裕が感じられた。そしてフィフティー・フィフティーのボールやルーズボールをことごとく拾われたことも勝敗を分けるポイントとなった。
今後チームはスロベニア、アルゼンチンとの対戦が控えているが、スペインとの初戦で“世界レベル”を経験できたことは大きかった。次戦においてはスペインが日本に対して見せた強度の高いディフェンスを、スロベニアに対して見せないといけない。
短期間の大会でオフェンスは劇的な改善や進化は見込めないが、ディフェンスはメンタルひとつで変えられる。相手選手をイラつかせるようなファウルギリギリのフィジカルなディフェンスと、泥臭いプレーを期待したい。
総括●中原雄 構成●ダンクシュート編集部