NBA

“常識を超える”チェンバレンの豪快伝説――高校在学時に偽名を使い、プロ相手に平均54点【NBA秘話|前編】<DUNKSHOOT>

大井成義

2021.09.13

高校時代、チェンバレンは偽名を使ってプロリーグでプレーしていたという。(C)Getty Images

 2021年1月号の『ダンクシュート』誌で、マイケル・ジョーダン(元シカゴ・ブルズほか)とレブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)を徹底比較する企画を掲載した。しかし、ほんの10年ほど前までは、"史上最強"を巡る論争でジョーダンと比較される対象は別の人物だった。

 ウィルト・チェンバレン――。7年連続得点王、通算3万得点など数々の史上初の快挙を成し遂げたレジェンドだ。スケールの大きさや怪物度で言えば、誰も敵わぬ伝説の巨人。今回は、チェンバレンが残した超絶秘話を2本紹介する。
 
■"怪物度"では、レブロンやジョーダンよりはるかに優る

『ダンクシュート』2021年1月号において、"史上最高の選手はどっちだ?!"と題し、マイケル・ジョーダンとレブロン・ジェームズの比較検証を行なった。もしこれに3人目の比較対象者を加えるとするなら、いったい誰になるだろうか。パッと思い浮かぶ何人かのレジェンドのなかから、個人的にはウィルト・チェンバレンを選びたい。アメリカのバスケットボール専門誌『SLAM』が2011年に発表し、話題となったランキング"歴代の偉大なNBA選手トップ500"でも、チェンバレンはジョーダンに次いで2位に選ばれている。

 1月号の特集テーマが、"史上最高の選手"ではなく、"史上最も規格外の選手は誰だ?!""最も桁外れな選手は?""最大のモンスターは?"だったとしたら、チェンバレンがトップに選ばれていたに違いない。人間離れしたフィジカルやバスケットボールの能力のみならず、永遠に破られることがないとされる怪記録の数々――例えば、1961-62シーズンにマークした平均出場時間48.5分(1試合は48分)――を保持するなど、そのバケモノっぷりは抜きん出ている。

 また、"現役中に2万人の女性と関係を持った"や、"夜にアリゾナの荒野を車で走っていた際、用を足そうと車を降りたらピューマに襲われるも、素手で殺した"など、コート外における超絶エピソードも素晴らしい。
 
NEXT
PAGE
プロリーグに現われた怪物“ジョージ・マーカス”。その正体とは…