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「彼にもこの場にいてほしかった」引退会見でガソルが涙を堪え語った、自身のキャリアと盟友コビーへの思い<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2021.10.11

現役生活に終止符を打ったガソル。引退会見では、こみ上げる思いから時折言葉を詰まらせる場面もあった。(C)Getty Images

 現地時間10月5日、パウ・ガソルがプロキャリアに終止符を打つと発表した。

 9月下旬、"ガソルがこの日にバルセロナで記者会見を開く"という情報が出回ると「ついにその日がきたか……」と、それが引退発表であるのはある程度予測されていた。だが、いざ正式な形になった時には、バスケ界は"お疲れ様"という労いの思いとともに、独特なキャラクターを持ったこのビッグマンがコートからいなくなる寂しさに包まれた。

「ケガが理由ではなく、"プレーを楽しめている時に辞めたい"というのが私の願いだった。それを実現させてくれたすべての人々に感謝したい」

 そうスーツ姿であいさつしたガソルは、地元バルセロナで18歳でプロキャリアをスタート。21歳の誕生日目前で迎えた2001年のNBAドラフトで、アトランタ・ホークスから3位指名を受けると、直後にメンフィス・グリズリーズへトレードされ、デビューを果たした。
 
 以来、2018-19シーズンまで18年間、5球団(グリズリーズ、ロサンゼルス・レイカーズ、シカゴ・ブルズ、サンアントニオ・スパーズ、ミルウォーキー・バックス)でプレー。キャリアのハイライトは、2008年から6シーズン在籍し、2009、10年と2度チャンピオンタイトルを獲得したレイカーズ時代だろう。

 そしてバックス在籍中の2018-19シーズンに、左足首の疲労骨折が悪化。3月10日のスパーズ戦が、NBAでの最後の試合になった。

 2019年5月にその左足首を手術をした後、治療に専念していた38歳の彼の頭には"引退"の文字もよぎったが、そんなガソルの復帰のモチベーションとなっていたのが東京五輪出場だった。

 開催が1年延期になったのは、彼にとっては好都合だったかもしれない。今年2月、本人も「まったく想定外だった」という古巣バルセロナ復帰が実現し、本戦まで試合に向けたコンディション作りができる状況が整った。

 そしてそれは、16歳で入団したキャリアの原点に戻るという美しいシナリオでもあった。
 
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会見では盟友コビーにも言及、言葉を詰まらせる場面も