NBA

“史上最低のドラ1チーム”を識者が選定。ベネット、クワミ・ブラウンら“ある意味有名な選手”が勢揃い<DUNKSHOOT>

出野哲也

2022.04.18

ドラ1として指名されたものの、ブラウン(右)やベネット(左)は期待を大きく裏切ってしまった。(C)Getty Images

 1946年に創設されたNBAは、翌47年からドラフト制度を開始させ、時代によってルールを変えながら現在に至っている。

 昨年7月までに計75回のドラフトが行なわれてきたが、年代関係なく指名順位に限定してチームを結成した場合、その顔ぶれはどうなるのか。今回は過去5回にわたってお送りした「ドラフト●位指名」の最強チームの番外編として、「ワーストドラ1チーム」を、アメリカンスポーツに精通する識者に選んでもらった。

【ポイントガード】
ジョン・ルーカス
1953年10月31日生。191cm・79kg
1976年ドラフト1位
キャリアスタッツ:928試合、平均10.7点、2.3リバウンド、7.0アシスト

 2021年のケイド・カニンガム(デトロイト・ピストンズ)のように、近年ではPG(ポイントガード)が1位指名されることが多くなっている。しかしその昔は、1位は大抵センター/PF(パワーフォワード)であった。

 そのような時代にあって、1976年にヒューストン・ロケッツはPGのルーカスを1位指名。メリーランド大では2年連続オール・アメリカンに選ばれ、プロ入り後も1978、79年は2年続けて平均アシスト2位と、ここまでは順調なキャリアを歩んでいた。

 しかし当時のNBAで蔓延していたドラッグに嵌って成績は急落。そのままフェードアウトするかに思われたが、サンアントニオ・スパーズに加わった1983-84シーズンに平均10.7アシスト(4位)と復活した。

 間違いなく実力はあったけれども、薬物禍がなければもっと活躍できたはずで、オールスター出場経験もなし。1位指名のPGとしては一番の期待外れに選ばざるを得ない。引退後は自身の経験も踏まえて人情派のコーチとなり、スパーズHC(ヘッドコーチ)時代は変人デニス・ロッドマンを巧みに操縦した。
 
【シューティングガード】
マーケル・フルツ
1998年5月29日生。193cm・95kg
2017年ドラフト1位
キャリアスタッツ:131試合、平均10.9点、3.2リバウンド、4.8アシスト

 好選手の居並ぶ近年の1位指名PGで、唯一の"外れ"がフルツ。プロ入り当初はSG(シューティングガード)でプレーすることも多く、1位指名選手そのものが少ないこのポジションで選出した。

 ワシントン大1年生時に平均23.2点、5.7リバウンド、5.9アシストの好成績を残し、2017年の1位指名でフィラデルフィア・セブンティシクサーズに入団。前年のドラ1でベン・シモンズ(現ブルックリン・ネッツ)が入団していたこともあり、PGではなくSGで起用されたが、開幕早々に肩を負傷して長期欠場する。2年間で33試合に出ただけでオーランド・マジックへトレードされると、新天地1年目は平均12.1点をマークし、3年5000万ドルの延長契約を結んだ。

 ところが翌年は前十字靭帯を断裂して出場8試合のみ、今季もプレーしたのは18試合だけ。5年間で20試合以上出たのは1シーズンのみと、故障続きで実力を発揮する機会がほとんどないままだ。2017年のドラフトは多数のガードが上位で指名されたが、当たり外れが大きく、シクサーズは結果的に外れを引いた格好になった。
 
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ドラフト史上最悪の1位指名選手