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エンビードがフランス国籍取得へ。東京五輪「銀」のバスケ大国入りで、世界の勢力図を一変させるか<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2022.05.06

今季のNBA得点王に輝いたエンビード。生まれはカメルーンだが、フランス国籍取得に向けて動いているという。(C)Getty Images

 NBAの今季のMVP候補であるフィラデルフィア・76ersのジョエル・エンビード。トロント・ラプターズとのプレーオフ1回戦でパスカル・シアカムと接触し右眼窩を骨折、さらに軽度の脳震盪と診断されて現在は無期限離脱中だ。

 その彼が現在、世界のバスケットボール界を賑わせている。エンビードが今後、フランス代表の一員としてプレーする可能性が浮上しているのだ。

「カメルーン生まれで同国の国籍をもつジョエル・エンビードはフランスで育った経歴はないが、血縁がパリにおり、すでに帰化の申請手続きを開始している。実現すればフランス代表でプレーする可能性がある」

 フランスのラジオ局『RMCスポーツ』が流したこの情報を、スポーツ紙『レキップ』も確認し、フランス代表のチームマネジャーを務めるボリス・ディーオウも「彼が個人的に帰化の手続きを始めたこと、そしてフランス代表としてプレーしたいと考えていることは知っている」と認めている。
 
「とはいえ、本末転倒はよくない。ひとまず、もろもろの手続きが完了するのを待ちたい」と、かつてNBAのフェニックス・サンズやサンアントニオ・スパーズなどで活躍したディーオウは慎重にコメントしたが、エンビードとフランス代表のリンクが噂されたのは今回が初めてではない。

 最初は2016年で、この時はなんの進展もなかったが、2回目の2018年には、フランス代表の中核メンバーが反応。ニコラ・バトゥーム(ロサンゼルス・クリッパーズ)は、「ルディ・ゴベアとの共闘はおもしろそうだ」と賛成派だったが、トニー・パーカーは反対派だと報じられていた。

 さらに現代表のエース、エバン・フォーニエ(ニューヨーク・ニックス)は、自身のツイッターで赤裸々に思いを吐露している。

「自分は、縁もゆかりもない国のためにプレーするのはどうかと思う。代表は単なるスポーツ的なチャレンジではない。ジョエルを非難しているわけじゃない。ほかの代表チームがそういうことをやっているのが気になるんだ。だからレ・ブルー(フランス代表)であっても同じこと。それに、ルディへのリスペクトは一体どこにあるんだ? フランス代表のために毎年、夏を犠牲にしている選手たちの立場は?」。レ・ブルーでゴベアとコンビを組む彼らしいコメントだ。
 
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