専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
NBA

【NBAスター悲話】ニック・アンダーソン――順風満帆のバスケ人生を一変させた史上最悪の4連続FTミス【前編】

大井成義

2019.11.17

チーム創設からわずか6年でNBAファイナル進出を果たしたものの、アンダーソンは栄光の舞台で地獄を味わう。(C)Getty Images

チーム創設からわずか6年でNBAファイナル進出を果たしたものの、アンダーソンは栄光の舞台で地獄を味わう。(C)Getty Images

 NBAにやって来るほどの選手なら、誰しもが何かしら思い出のシュートというものがある。たとえば、ジョーダンはNCAAトーナメント決勝での逆転弾によって、スター街道を歩み始めた。だが、それとまったく正反対の悪夢を持つ者もいる。ニック・アンダーソン――。彼は、1995年ファイナルで4本連続フリースローミスという一生拭い去れないトラウマを背負い、それによってバスケットボール人生を縮めてしまったのである。

   ◆   ◆   ◆

“It ain’t over, ‘til it’s over.”‐Yogi Berra(試合が終わるまで、試合は終わらない――ニューヨーク・ヤンキース伝説の名捕手、ヨギ・ベラがメッツ監督時代に残した名台詞)。

 アメリカでもっとも頻繁に引用される言葉は聖書とシェークスピアから、とされているが、ヨギ・ベラが残した数々の名言もそれらに負けず劣らず多用され、通称“Yogi-ism”と呼ばれている。この台詞の真意は、「勝負は下駄を履くまでわからない」ということだが、1990年代のNBAにこの言葉を身にもって実感した選手がいる。それも完膚なきまでに。元オーランド・マジックのニック・アンダーソンこそがその人だ。
 
■アンダーソンの運命を変えた悪夢の4連続FTミス

 1994-95シーズンのNBAファイナルに駒を進めたのは、まったく対照的な2つのチームだった。片や前年度の優勝チームでリーグを代表するベテラン選手、アキーム・オラジュワンとクライド・ドレクスラーを擁する老練なヒューストン・ロケッツ。ホームコート・アドバンテージのない第6シードから、幾度となく土俵際に追い込まれながらもしぶとい戦い方で檜舞台に舞い戻ってきた。

 迎えるは、イースタン・カンファレンスのレギュラーシーズン最高勝率をマークし、プレーオフでも快進撃を続ける新鋭オーランド・マジック。シャキール・オニールやアンファニー・ハーダウェイ、ニック・アンダーソンら若武者たちの溌剌としたプレーで、球団創設後わずか6年にして堂々のファイナル進出を成し遂げたシンデレラチーム。下馬評ではマジック有利と見られていた。

 ファイナル第1戦、最初に主導権を握ったのはホームチームのマジックだった。第1クォーターに11点のリードを奪い、第2クォーター途中には最大20点にまでその差を広げた。だがディフェンディング・チャンピオンのロケッツがそう簡単に引き下がるはずもなく、第3クォーターにケニー・スミスがプレーオフタイ記録(シングル・クォーターでの最多3ポイント成功率)となる5本の3ポイントを沈め、見事逆転に成功。緊迫した勝負は最終クォーターに持ち込まれた。
 

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号