1994、95年にリーグ２連覇を達成したヒューストン・ロケッツは、殿堂入りセンターのアキーム・オラジュワンを中心に、ケニー・スミス、マリオ・エリー、ロバート・オリー、サム・キャセールら職人タイプのロールプレーヤーが揃っていた。

　その一方で、その前後はシカゴ・ブルズが91～93年、96～98年にそれぞれスリーピート（３連覇）を達成しており、「マイケル・ジョーダンが引退していなければブルズが８連覇を果たしていたのではないか」という仮説はずっと付きまとってきたが、たとえ“神様”の引退がなくても自分たちの勝利は揺らがなかったと、当時のチームで司令塔を務めていたスミスは主張している。

　94、95年に史上４チーム目となる連覇を達成したロケッツは、名門ロサンゼルス・レイカーズやボストン・セルティックス、２度の３連覇を成し遂げたブルズのように評価されることはほとんどない。主な要因は“ジョーダンが電撃引退し、当時最強のパワーハウスがいなかったというものだ。

　91～98年までの８年間、NBAのリーグ優勝を占有したブルズとロケッツは、NBAファイナルでの対戦がない。ただ、ロケッツの大黒柱だったオラジュワンは計23回を数えるジョーダンとのレギュラーシーズンの対戦で13勝10敗と勝ち越し。ブルズが優勝した年に限っても６勝５敗、ブルズ前期３連覇の間に至っては５勝１敗と完全にイニシアチブを握っている。
  “空白の２年間”でのチャンピオンシップに疑惑の目を向けられ続けてきたロケッツだが、ノースカロライナ大出身で、１年時の1983－84シーズンに２歳年上のジョーダンと共闘した経験を持ち、ロケッツ優勝メンバーのスミスは、かねてから世論に異議を唱えてきた。『Draymond Green Show』に出演した際も、改めて持論を展開している。

「彼ら（ブルズ）は我々を負かすことはできなかっただろう。理由は２つある。ジョーダンが最高の選手ではなかったからではなく、アキームが当時世界でもトップかナンバー２の選手だったからだ」

　ブルズのインサイドはビル・カートライトやルーク・ロングリーだったのに対し、必殺技“ドリームシェイク”を武器にインサイドを支配した名手オラジュワンの存在も、スミスは勝敗を分ける大きなポイントに挙げている。

「当時のブルズはサイズが小さすぎた。オーランド（マジック）に負けたのは、シャキール・オニールにやられたからではなく、ホーレス・グラントが退団したからだと世間は忘れている。ブルズが我々に勝てたとは思わない。彼らは小さすぎたんだ。（デニス）ロッドマンがいれば、我々に勝っていたかもしれない。でも、ロッドマンもグラントもいなければ、我々がブルズを退けていただろう」

　あくまで、“タラレバ”の空想でしかないが、ロケッツの選手たちからすれば自分たちの優勝の功績が軽視されるのは我慢がならないところと言えるかもしれない。

構成●ダンクシュート編集部

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