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NBA

「彼なくしてクリッパーズは成立しない」茨の道を歩んだ守備職人、パトリック・ベバリー

北舘洋一郎

2019.12.03

指揮官も「クリッパーズのハート」と絶賛する守備職人、ベバリー。(C)Getty Images

指揮官も「クリッパーズのハート」と絶賛する守備職人、ベバリー。(C)Getty Images

 今夏に“優勝請負人”カワイ・レナード、そしてポール・ジョージを獲得するなど大型補強に成功したロサンゼルス・クリッパーズ。優勝候補の筆頭として、今季は球団史上最大の注目を集めている。

「現役最後に所属したチームがクリッパーズだったが、その頃はクリス・ポール(現オクラホマシティ・サンダー)、ブレイク・グリフィン(現デトロイト・ピストンズ)が中心で、選手たちの能力をフルに発揮すれば十分にリーグ優勝を狙える存在だった。だけど噛み合わないことも多く、勝ちパターンが安定しなくて相当苦労したのを覚えている。しかし、今のクリッパーズはその頃と大きく違う。力でねじ伏せるかような荒削りな強さよりも、高いコーディネート力をチームも選手個々も持ち合わせていて隙がない」

 そう話すのは、テレビ解説者で往年のスーパースター、グラント・ヒルだ。

「チームの主軸となるレナードとジョージは、高いレベルで安定した結果を残せるスター。そこに一筋縄ではいかなスペシャリストを擁した布陣が、今季のクリッパーズの強みだ」とヒルは分析する。
 
 レナードとジョージの二枚看板は、NBAが誇るスタープレーヤーのなかでも“静かなる脅威”というべきタイプだ。バスケットボールIQが高くセンスがいい。ボールを常に持ちたがるようなこともせず、与えられた役割を忠実に、高い精度でやり切る。さらに2人ともリーグ屈指のディフェンダーでもある。

 同じく優勝候補のヒューストン・ロケッツの強力コンビ、ジェームズ・ハーデンとラッセル・ウエストブルックは完璧なるオフェンシブデュオで、レナード&ジョージとは完全に対極にあると言っていいだろう。

 クリッパーズのヘッドコーチ(HC)、ドック・リバースは、プレーオフでの戦い方にもすでにビジョンを持っている。

「優秀な選手が揃った。もう“優勝しかない”という気持ちだ。勝利の方程式を強固なものにする。一言で表わせば簡単に聞こえるが、膨大な量の情報をインプットし、それをどう処理して結果に結びつけるのかを日々構築していかなければならない。そのなかでも重要なのは、選手が自らの役割をプレーで体現するだけでなく、精神的にも体に染みつくぐらいクリッパーズ色に染まることを期待している」
 
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