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NBA

「彼なくしてクリッパーズは成立しない」茨の道を歩んだ守備職人、パトリック・ベバリー

北舘洋一郎

2019.12.03

大学卒業後は海外リーグを渡り歩くなど、なかなかNBAに辿り着けなかった。(C)Getty Images

大学卒業後は海外リーグを渡り歩くなど、なかなかNBAに辿り着けなかった。(C)Getty Images

 この“選手がクリッパーズ色に染まる”という部分で、リバースHCが絶大なる信頼を置くのがパトリック・ベバリーだ。彼の存在なくして今のチームは成立しない、と指揮官は太鼓判を押す。

 ベバリーをただの“しつこく激しいディフェンダー”と簡単に解釈してはいけない。彼は茨の道を経験しここまでたどり着いた苦労人だ。

 大学時代もまずまずの選手だったが、エリートレベルからは程遠く、プロキャリアをスタートさせたのはウクライナ。その後ギリシャ、ロシアと渡り歩き、ようやくNBAに辿り着いたのは大学卒業から4年後の2012年。ロケッツに入団できたは良いものの、しばらくはDリーグ(現在のGリーグ)との行き来を余儀なくされた。

「家族のためにバスケットボールで稼がねばならず、そのためならNBAでなくとも良かった。もちろんNBAだったら最高だけど、そう簡単な世界じゃない。しかし今考えれば、ヨーロッパでのプレーが自分のディフェンスをよりタフにさせたし、“俺は守備が武器になる”と再認識させてくれた」とベバリーは話す。
 
 NBAに定着して以降は、知っての通り激しいディフェンスで自らの地位を確立させていく。しかし13年のプレーオフ、ハードファウルでウエストブルック(当時サンダー)に大ケガを負わせてしまったことで、ベバリーの守備は批判に晒された。

 だが「外野の中傷や批判は耳にしない。俺はバスケットボールをやっている。ルールに沿って、だ。俺のプレーが違反ならレフェリーが正当にジャッジするだろうし、違反でなければそれはいいプレーだ。そこに推測や感情論はいらない」と、ベバリーは激しいプレッシャーディフェンスを仕掛ける自身のスタイルは正しいと語っている。

「(しつこいディフェンスを)やられた相手は嫌がるだろうけど、逆にベバリーのスタイルを熟知していれば、自分が有利になるようレフェリーにアピールし、うまい選手ならフロッピングを仕掛け返してくるだろう。ところがこの状況を冷静に判断すれば、ベバリーが主導権を握って有利に試合を進めていることがわかる」とヒルは話す。
 
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