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「俺たちは誰も満足なんてしていない」3年ぶりのファイナル返り咲きも、さらなる高みを目指すバトラー<DUNKSHOOT>

秋山裕之

2023.05.31

昨年のリベンジを果たしたバトラーだが、本人とチームもさらなる高みを目指している。(C)Getty Images

 現地時間5月29日にTDガーデンで開催されたボストン・セルティックスとマイアミ・ヒートによるプレーオフのイースタン・カンファレンス・ファイナル第7戦。

 カンファレンス決勝で両チームが対決するのは過去4年で3度目。2020年はヒートが4勝2敗、昨年は4勝3敗でセルティックスに軍配があがった。2年連続で最終戦までもつれた今年のシリーズは、3連勝から3連敗でセルティックスに逆王手をかけられたヒートが、敵地ボストンで行なわれた最終第7戦に103-84の大差で勝利する予想外の展開で幕を下ろした。

 昨年5月29日に行なわれたカンファレンス決勝第7戦で、セルティックスに96-100の惜敗を喫していたヒートは、奇しくも丸1年後の同じ日にリベンジを果たしたことになる。

 試合後、ヒートのエリック・スポールストラHC(ヘッドコーチ)の口から出た言葉は相手チームへのリスペクトだった。

「昨年(の敗戦)はすごく苦しいものだった。我々はその辛さをシーズン通して抱えてきた。彼らのような相手がいなければ、自分たちのレベルを引き上げて、ここまで辿り着くことはできなかっただろう」

 ヒートは1回戦で第1シードのミルウォーキー・バックス(4勝1敗)、カンファレンス準決勝で第5シードのニューヨーク・ニックス(4勝2敗)、そしてカンファレンス決勝で第2シードのセルティックスを撃破し、1999年のニューヨーク・ニックス以来となる第8シードによるファイナル進出に成功した。
 
 そのチームでリーダー役を務めたのはジミー・バトラー。第7戦でゲームハイの28得点に7リバウンド、6アシスト、3スティールを叩き出し、カンファレンス・ファイナルMVPに輝いた。

 ホームでの第6戦を逆転ブザービーターというショッキングな形で落としたヒートだが、中1日で見事に切り替えてみせた。

「俺たちはグループとして団結していたんだ。チームとして、俺たちはロードでタフな1勝を掴み取ってやろうぜと話し合っていた。それをやってのけただけさ」(バトラー)

 今プレーオフのバトラーには、何としてもチームを勝利へ導くという強い意志が言葉だけでなく、プレーや振る舞いにも表れており、コート内外で強烈な存在感を放った。

 昨年のリベンジを達成した主砲は「なぜコーチ・パット(ライリー/球団社長)とコーチ(スポールストラ)が俺を欲しがっていたのか知っている。それはハイレベルで競い合い、チャンピオンシップを複数勝ち取るためなんだ」と語り、こう続けた。

「このグループはいつだって俺にこのような機会を与えてくれる。俺たちは皆、そのためにやってきたから、自分たちにどんなことができるかは分かっている。でも誰も満足なんてしていない。俺たちは何も成し遂げていないんだ。イースタン・カンファレンスを制するためにプレーしているんじゃない。すべてに勝つためにプレーしているんだ」

 3年ぶり7度目のファイナル出場を決めたヒート。これまでNBAで最もシード順位の低い優勝チームは1995年のヒューストン・ロケッツ(第6シード)だが、バトラー率いるヒートは、史上初の第8シードからのリーグ制覇なるか。

文●秋山裕之(フリーライター)

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