FIBAワールドカップ2023のアメリカとイタリアの準々決勝は、アメリカが100-63で大勝。ミケル・ブリッジズやタイリース・ハリバートンが要所で３ポイントを決めて相手に精神的ダメージを与えたのも大きかったが、この日のアメリカで特筆すべきは、集中力を切らさず、フィジカルを駆使して臨んだディフェンスだった。
　
　ボールホルダーへの徹底的なマークは、大量リードを奪った後も緩むことはなかった。加えてベンチスコア57得点は、彼らが全員で勝ち取った勝利であることを示している。
　
　試合後、スティーブ・カーHC（ヘッドコーチ）は、チームのディフェンスを評価するとともに、「エネルギーとペース、力強さが発揮され、納屋へ戻るときの馬が疾走する時のようにペースを掴んだ。あと2試合を勝ちにいくことにつながるパフォーマンスだった」と選手たちを称賛した。

「我々は前の試合（リトアニア）に敗れた。敗戦の後は、挽回したいという意欲に燃えるもの。その戦闘意欲と、試合を楽しみたい感情がいい具合に混ざり合い、選手たちは、誰が得点をするか、誰が活躍するかはまったく関係なく、とにかくプレーすることを楽しんだ」と手応えを口にした。

　前回イタリアがワールドカップでベスト８入りしたのは98年のアテネ大会。当時、選手としてプレーし、現在はチームの指揮を執るジャンマルコ・ポッツェッコHCは、「世界中の誰もが、我々が勝つとは思っていなかっただろう。でも我々は戦った。グループ首位だったイタリアは、アメリカと当たるはずではなかった。我々は自分たちのキャラクターを十分に示した」とコメント。
  　そして「試合前から私は自分のプレーヤーが大好きだったが、この試合を終えて、ますます好きになった」と、彼らしい語り口で選手たちを労った。

　ゴール下で身体を張り、ゲームハイの9リバウンドを奪ったニコロ・メッリも、「（アメリカに勝つには）少し運も必要だ。グループリーグで、僕たちは自分たちにできることをすべてやった。それを考えると、準々決勝以上の成績で終われても良かったと思う。でも、これ以上はできないほど出し尽くした」と、悔いの残る敗戦ではないことを強調。

　パオロ・バンケロのシュートをはたき落とすなど、18得点、５リバウンド、２スティール、２ブロックとNBAプレーヤーの意地を見せたシモーネ・フォンテッキオ（ユタ・ジャズ）も「彼らはおそらく今大会で最強のチーム。我々が負けたのはそんな相手だ。もっと先でぶつかりたかったが、重要なのは、自分たちがベスト８で終えたこと。そしてここからさらに上積みしていくことだ」と前を向いた。