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「アンドレは特別だった」ウォリアーズ指揮官が引退したイグダーラへ最大級の賛辞「誰よりも“一歩先”を見ていた」<DUNKSHOOT>

秋山裕之

2023.10.22

イグダーラはNBA19シーズンのうち8年間をウォリアーズでプレー。ビッグ3とともにチームを4度の優勝に導いた。(C)Getty Images

 10月20日、アンドレ・イグダーラが米スポーツ専門局『ESPN』の『Andscape』電話インタビューに応じ、NBAキャリアに別れを告げることを発表した。

「適切なタイミングだ。私にとっては時間が着実に限られてきて、後回しにしたくなかった。これ以上、コート内外で時間を(誰かに)委任するわけにはいかなかった」

 イグダーラは、2004年のドラフト1巡目9位でフィラデルフィア・セブンティシクサーズから指名されNBA入り。

 キャリア初期はアレン・アイバーソンらとシクサーズでプレー。屈強な肉体と驚異的な身体能力を武器にアイバーソンの退団後はチームの看板選手に成長し、2011年にオールディフェンシブ2ndチーム入り、翌2012年にはオールスターに選出された。

 その後デンバー・ナゲッツで1年間プレーし、2013-14シーズンからゴールデンステイト・ウォリアーズへ加入。1年目はスターターを務め、翌2014-15シーズンからスティーブ・カーHC(ヘッドコーチ)の下でシックスマンへ転向した。

 198cm・98kgのウイングは、ステフィン・カリー、クレイ・トンプソン、ドレイモンド・グリーンのビッグ3を擁するチームで貴重な働きを見せ、2015、17、18年と3度の優勝に貢献した。
 
 なかでも2015年のファイナルではクリーブランド・キャバリアーズ相手に平均16.3点、5.8リバウンド、4.0アシスト、1.3スティールをマーク。1勝2敗で迎えた第4戦から先発へ昇格し、そこから3連勝を飾りシリーズを制する原動力となった。

 このシリーズで、相手エースのレブロン・ジェームズ(現ロサンゼルス・レイカーズ)は平均35.8点、13.3リバウンド、8.8アシストを記録。しかし、イグダーラがマッチアップしたポゼッションではフィールドゴール成功率38.1%、ほかの選手たちが対峙した際には44.0%とその差は歴然で、エースのカリーを抑えてファイナルMVPに選出された。

 2019年からマイアミ・ヒートに2シーズン在籍したのち、一昨季にウォリアーズへ復帰し、2022年の優勝にも貢献。通算1231試合(先発784試合)で平均11.3点、4.9リバウンド、4.2アシスト、1.4スティールというオールラウンドな数字を残した。

 NBAで19年間、39歳までプレーしたイグダーラは「誰だって最高のレベルでプレーしたいものさ。でも家族のことが大きい。息子は16歳で、2人の娘もいる。だからこうした大切な時期に、子どもたちが育つのを見るのを楽しみにしている」と、家族と過ごす時間を引退の理由に挙げた。
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「私は全盛期に適切な場所に完璧なタイミングでいることができた」