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NBA

レブロンのビッグ3結成に端を発し、パワーハウス全盛の時代に。選手の総オールラウンダー化も加速【NBA70年史|2011~20年】

出野哲也

2020.01.03

レブロン(左)、ウェイド(中央)、ボッシュ(右)によるビッグ3結成は、NBAに大きな衝撃を与えた。(C)Getty Images

レブロン(左)、ウェイド(中央)、ボッシュ(右)によるビッグ3結成は、NBAに大きな衝撃を与えた。(C)Getty Images

 2010年代に終わりを告げ、これからNBAは新たなディケイド(10年)に突入する。その前に、73年の長い歴史を誇るリーグの歩みを、今一度時代ごとに振り返っておくべきではないだろうか。

 2010年の“ヒート・ビッグ3”結成に端を発し、NBAはパワーハウス全盛に突入。データ分析の発達により3ポイントの有用性が広く浸透し、ビッグマンがアウトサイドシュートを放つなどポジションレスとなったことで、選手の総オールラウンダー化が進んだ時代でもあった。
 
■スター選手が優勝のために手を組むパワーハウス全盛の時代に

 2010年代のNBAは、ビジネス面に関してかつてないほどの繁栄を謳歌した。

 12年に『フォーブス』誌が選んだ“世界で最も資産価値のあるスポーツチームトップ50”に、NBAからランクインしたのは2球団。それが7年後の19年度版では、その数が一気に9つまで増加した。

 リーグの総収入額に応じて決まるサラリーキャップは、08-09シーズンの5868万ドルから、17-18シーズンにはその約1.7倍となる9909万ドルまで上昇。キャップの額が増大すれば選手の取り分が増えるのも必然で、08-09シーズンの最高年俸がケビン・ガーネット(元ミネソタ・ティンバーウルブズほか)の2475万ドルだったのに対し、18-19シーズンに彼以上の年俸を得ているプレーヤーは、ステフィン・カリー(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)の3745万ドルを最多として25人もいる。現在のNBAに当時のガーネットクラスの実力者がそんなにいるとは信じ難く、それだけサラリーのインフレーションが起こっていると言えよう。

 もう少し年俸の話を続けると、最高年俸選手はガーネット以降を見ると、10~16年はコビー・ブライアント(元ロサンゼルス・レイカーズ)、17年はレブロン・ジェームズ(レイカーズ)で18年からカリー。この10年間で最高のプレーヤーだったレブロンが、一番の高給を貰っていたシーズンが1年だけなのは意外かもしれない。

 しかし、この事実は10年代のNBAで流行した“スーパーチーム”の形成と大いに関係がある。キャブズではなかなか優勝まで辿り着けないことに業を煮やしたレブロンは、10-11シーズン、マイアミ・ヒートで友人のドゥエイン・ウェイド、クリス・ボッシュとともに、最高級のスター3人が集結したスーパーチームを結成。その際、3人とも最高限度額を1500万ドルも下回る金額で契約していたのである。
 
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