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“脇役界最大の大物”ロバート・パリッシュ。不器用な男がセルティックスで開花するまでの前日譚【NBA名脇役列伝・前編】<DUNKSHOOT>

出野哲也

2024.10.14

脇役と呼ぶには失礼なほどの実績を誇るパリッシュ。しかし、それに見合った知名度を得ていないのが実情だ。(C)Getty Images

脇役と呼ぶには失礼なほどの実績を誇るパリッシュ。しかし、それに見合った知名度を得ていないのが実情だ。(C)Getty Images

 ロバート・パリッシュはオールスターに9回出場、背番号00はボストン・セルティックスの永久欠番であり、バスケットボール殿堂入りも果たしている。1996年にはNBA50周年記念オールタイムチームにも選ばれた。成績を見ても疑いようのないスターであり、彼を“脇役”と呼ぶのは失礼かもしれない。

 しかし、今のファンにはその功績があまり知られていないように思える。1980年代のセルティックスでラリー・バード、ケビン・マクヘイルとビッグ3を形成していたことは有名でも、バードはともかく、当初は格下であったマクヘイルにさえも、現在の知名度では見劣りしていると言わざるを得ない。
 
■公式記録には残らなかったがその実力は誰もが認めていた

 少年時代のパリッシュは、将来NBAのスターになるようにはとても見えなかった。身体は大きかったものの不器用で、パスを送られれば必ずキャッチミス。レイアップさえまともに決められず、級友たちの笑い者になっていたのだ。本人が「最初にレイアップをマスターした時の嬉しさは、今でも覚えている」と言うほどだから、その酷さは推して知るべしだろう。

 それでも毎日練習を積み重ねた甲斐あって、高校を卒業する頃には400校を超える大学から勧誘されるまでに成長を遂げていた。しかし、そのなかから自宅に近いセンテナリー大を選択したところで、問題が発生する。

 当時、NCAAは学業成績が基準に満たない学生のプレーを許可していなかったのだが、パリッシュは大学進学適性試験を受けなかったため、高校の成績を換算した点数を自己申告していた。

 ところがこれをNCAAが問題視し、パリッシュへの奨学金を取り消すよう言い渡す。だが、この通達にセンテナリーは従わず、以降6年間にわたって「NCAAトーナメントの出場禁止と公式戦の成績抹消」という厳罰を下されてしまうのだ。したがって、パリッシュは同大での4年間で平均21.6点、16.9リバウンドの好成績を残したにもかかわらず、公式記録としては認められていないのである。
 
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