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「最後まで名前は呼ばれなかった……」屈辱のドラフト漏れを経て、サンダーのドートがリーグ最高級のディフェンダーとなるまで<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2025.04.07

2WAY契約を経て、今やドートはリーグトップクラスのディフェンダーへと成長した。(C)Getty Images

 ウエスタン・カンファレンスの首位を独走中のオクラホマシティ・サンダーで、守備職人ルージェンツ・ドートの評価が急上昇している。

 アレックス・カルーソやケイソン・ウォーレスら好ディフェンダーが多く揃うサンダーは、ここまで失点数もリーグ最少と、選手の顔ぶれ、そして数字の上でも最高級の守備力を証明しているが、とりわけ相手選手に30点超えを許した試合の数でもリーグ最少というデータを見ると、毎試合、相手スコアラーとマッチアップするドートの影響力が実感できる。

 サンダーのマーク・ダグノーHC(ヘッドコーチ)は、単にドートが相手を封じ込めるといったことよりも「彼とマッチアップすることで、相手は相当なフィジカルエネルギーや集中力を吸い取られる。そこに私はいつも非常に感銘を受けている。そして彼の闘魂だ」と評している。

 ヴィクター・ウェンバンヤマ(サンアントニオ・スパーズ)が血栓により残りシーズンを全休となったため、今季の最優秀守備選手賞の候補にはいろいろな選手の名前が挙がってきているが、ドートの同僚チェット・ホルムグレンは「彼がふさわしい評価を得ないのは馬鹿げているよ。今年こそは彼が受賞するべき年だ」とチームメイトを推している。
 
「彼はだいたいいつも1対2でプレーしているのに、それでも常に誰かの前を塞いでいる。NBAでプレーしている選手たちのレベルの高さを考えても、これは驚異的なことだよ。しかも彼はシーズンを通してそれをやってくれている。それがいかに自分たちの仕事を楽にしてくれていることか……」

 4月19日(日本時間20日)に26歳の誕生日を迎えるドートは、今季でキャリア6年目の中堅選手だ。

 2019年の夏にサンダーに加入したが、最初は2WAY契約だった。ジェームズ・ハーデン(ロサンゼルス・クリッパーズ)を輩出したことで知られるアリゾナ州大出身で、カレッジ時代はカンファレンスのフレッシュマン・オブ・ザ・イヤーに選ばれるなど期待の新人だったが、1学年終了後にアーリーエントリーしたその年のドラフトで、無指名に終わったのだった。
 
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屈辱を味わったドラフトの夜