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NBA

“神様”ジョーダンが語るロード・マネジメントの本質「バスケは1日2時間半~3時間。残りの21時間で何をするか」<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2025.10.30

 デビューして間もない頃、試合中に足首を捻ったジョーダンだが、「こんなところで休んでる場合じゃない」と、テーピングを巻いてコートに戻ったこともあったという。

「見に来てくれるファンがいるなら、エンターテイナーとして自分のプレーを見せる責任があると思う。身体的な事情でプレーできないなら仕方がない。でも身体は万全なのに、気分が乗らない、といった理由で休むのは全く別の話だ」

 欧州のサッカー界でも、連戦や移動が続いた時や、より重要な試合が控えている前などに主力を休ませることはある。それは“ローテーション”や“温存”として、ファンにとっては残念ではあるが納得するしかない事情、と認識されている。

 サッカーとバスケとでは身体にかかる負荷の違いもあるが、NBAでロード・マネジメントがより問題となるのは、ジョーダンも「エンターテイナーとして」と語っているように、競技であると同時にエンターテイメント性がより高いからだろう。

 続けて、ジョーダンが語った“ロード・マネジメントの本質”が興味深い。彼いわく、選手自身が試合に向けてコンディションをいかに調整するか、それこそがロード・マネジメントであるという。
 
「バスケットボールをプレーするのは1日2時間半から3時間。それがNBA選手の仕事であり、そのために給料をもらっている。じゃあ残りの21時間は何をするのか。その時間こそ、翌日の試合や次のチャレンジのために準備するべき時間なんだ」

 ジョーダンは、「自分はその点ではロールモデルになれる存在ではなかったけれど」と苦笑しつつ、このように指摘している。

「ロード・マネジメントとは本来何なのか、いま一度振り返って考えてみるべきだ。まず第一に、ファンに対して誇れる存在であること。2つ目は、自分の感覚を常に研ぎ澄ませておくこと。そして3つ目は、チームのリズムを保つこと。(誰かが欠場することで)リズムが崩れて、チームの一体感を失うことになるからね」

 NBAが過去10年間のデータをもとに行なった調査でも、医師たちは「重要なのは休養とリカバリーのバランスであって、休養を取った選手にケガが少なかったという明確な根拠はない」との結論を出している。

 もちろん、身体的には問題なくとも、精神的な疲労が溜まっている場合は然るべきケアは必須だし、個体にはそれぞれ違いがあるため、場合によっては身体的な疲労を考慮する必要もある。

 ただ、ジョーダンの言葉にもあるように、休みなくプレーする方がリズムを保ちやすいという選手は少なくない。主軸の選手が不在となることで、チームの一体感が失われる指摘も、まさにその通りだろう。ロード・マネジメントは、そもそもチームの最終的な成績向上を目指すものであるから、マイナス面の方が大きくなっては本末転倒だ。

 ジョーダンが挙げた3つの本質はどれもチームに好影響を与えるものであり、これらを念頭において取り組めば、「ただ休ませる」だけを目的とした負荷管理は発生しないはず。

“スペシャル・コントリビューター”となったジョーダンが今後どんな発信をしてくれるのかも、今季の楽しみのひとつになりそうだ。

文●小川由紀子

「魔法の薬を飲んで、今のバスケットボールをプレーしてみたい」“神様”ジョーダンの変わらぬバスケ愛<DUNKSHOOT>

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