そのほか、サッカーの現欧州チャンピオンであるパリ・サンジェルマンもバスケットボール参入に興味を示している。
彼らのユニフォームはかのジョーダン・ブランドであり、今年6月にはケビン・デュラント(ヒューストン・ロケッツ)が少数株主になったことも発表された。パリ・サンジェルマンに資本を提供しているカタール王室もバスケ参入に前向きで、NBAとのつながりは一層密になっており、彼らが新チームを結成する可能性も大いにある。
またトルコでは、ガラタサライの会長が「NBAヨーロッパに参画することになるだろう」と発言している。
トルコでは、近年ユーロリーグで優勝しているフェネルバフチェやアナドール・エフェスに勢いがあるが、国内大会18回の実績を持つ古豪ガラタサライは、地元サポーターから絶大な人気を誇る。
現在進行中の新アリーナ建設計画も、NBA側にとって好材料となっていると、同球団のデュルサン・オズベク会長はコメントしている。
レアル・マドリーやバルセロナ、アルマーニ・ミラノ、ギリシャのオリンピアコスやパナシナイコスの参戦は未定だが、このなかの数チームは戦いの場をNBAヨーロッパへ移すことになるだろう。だとすれば、人気・レベルともにその地位を確立しているユーロリーグの土台が揺らぐことはまず間違いない。
しかしそこには、如何ともしがたい経済面での事情がある。
そもそもNBAがヨーロッパに参戦する大きな理由は、サッカーに次いで世界で2番目に多いファン層を有しながら、バスケットボールはサッカーと比べてその数に見合った商業的なアドバンテージを得ることができておらず、それを改善することにある。
アルマーニ・ミラノで現在ヘッドコーチとバスケットボール・オペレーション部長を兼任するエットーレ・メッシーナの発言にもそのジレンマが集約されている。
「ユーロリーグは、NBAのプレーオフに次ぐ非常にレベルの高い競技を提供している。ただ、それでもレアル・マドリーが1年間で3800万ドルもの損失を出しているといった記事や、厳しい選手層でやりくりしている我々の現状を目の当たりにすると、深刻な経済的問題を抱えていることに気づかされる」
利益を上げる目的もあり、今季のユーロリーグは参加チームが昨季の18から20に増加。レギュラーシーズンの試合数も4ゲーム増えたが、サラリーを抑えるために選手登録数は限られる。
メッシーナ曰く、彼のチームでも、シーズンが開幕1か月あまりで、すでに選手の負傷が60も報告されているという。
「我々はすべての話し合いにオープンだ」とメッシーナは締めくくっているが、おそらく他のクラブも似たようなスタンスだろう。
ユーロリーグは、筋金入りの王道バスケファンの間では絶大な人気があるが、ライト層へのアピール力は弱い。その点“NBA”の冠がつくことで、より幅広いファンを取り込める。それが転じて、バスケ界全体を活性化させるのがNBAの描くシナリオだ。
将来的には、アメリカ、アフリカ、欧州を巻き込んだ大陸間カップ戦を開催するなど、「あらゆるアイデアに可能性がある」と、アイヴァゾグル氏は語っている。
過渡期を迎えている欧州のバスケ界。来シーズンのNBAヨーロッパ開幕に向け、今後の動向に注目したい。
文●小川由紀子
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彼らのユニフォームはかのジョーダン・ブランドであり、今年6月にはケビン・デュラント(ヒューストン・ロケッツ)が少数株主になったことも発表された。パリ・サンジェルマンに資本を提供しているカタール王室もバスケ参入に前向きで、NBAとのつながりは一層密になっており、彼らが新チームを結成する可能性も大いにある。
またトルコでは、ガラタサライの会長が「NBAヨーロッパに参画することになるだろう」と発言している。
トルコでは、近年ユーロリーグで優勝しているフェネルバフチェやアナドール・エフェスに勢いがあるが、国内大会18回の実績を持つ古豪ガラタサライは、地元サポーターから絶大な人気を誇る。
現在進行中の新アリーナ建設計画も、NBA側にとって好材料となっていると、同球団のデュルサン・オズベク会長はコメントしている。
レアル・マドリーやバルセロナ、アルマーニ・ミラノ、ギリシャのオリンピアコスやパナシナイコスの参戦は未定だが、このなかの数チームは戦いの場をNBAヨーロッパへ移すことになるだろう。だとすれば、人気・レベルともにその地位を確立しているユーロリーグの土台が揺らぐことはまず間違いない。
しかしそこには、如何ともしがたい経済面での事情がある。
そもそもNBAがヨーロッパに参戦する大きな理由は、サッカーに次いで世界で2番目に多いファン層を有しながら、バスケットボールはサッカーと比べてその数に見合った商業的なアドバンテージを得ることができておらず、それを改善することにある。
アルマーニ・ミラノで現在ヘッドコーチとバスケットボール・オペレーション部長を兼任するエットーレ・メッシーナの発言にもそのジレンマが集約されている。
「ユーロリーグは、NBAのプレーオフに次ぐ非常にレベルの高い競技を提供している。ただ、それでもレアル・マドリーが1年間で3800万ドルもの損失を出しているといった記事や、厳しい選手層でやりくりしている我々の現状を目の当たりにすると、深刻な経済的問題を抱えていることに気づかされる」
利益を上げる目的もあり、今季のユーロリーグは参加チームが昨季の18から20に増加。レギュラーシーズンの試合数も4ゲーム増えたが、サラリーを抑えるために選手登録数は限られる。
メッシーナ曰く、彼のチームでも、シーズンが開幕1か月あまりで、すでに選手の負傷が60も報告されているという。
「我々はすべての話し合いにオープンだ」とメッシーナは締めくくっているが、おそらく他のクラブも似たようなスタンスだろう。
ユーロリーグは、筋金入りの王道バスケファンの間では絶大な人気があるが、ライト層へのアピール力は弱い。その点“NBA”の冠がつくことで、より幅広いファンを取り込める。それが転じて、バスケ界全体を活性化させるのがNBAの描くシナリオだ。
将来的には、アメリカ、アフリカ、欧州を巻き込んだ大陸間カップ戦を開催するなど、「あらゆるアイデアに可能性がある」と、アイヴァゾグル氏は語っている。
過渡期を迎えている欧州のバスケ界。来シーズンのNBAヨーロッパ開幕に向け、今後の動向に注目したい。
文●小川由紀子
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