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NBA

NBAからの欧州移籍は都落ちなのか?“元ドラフト2位”の逸材がユーロリーグでたどり着いた新境地

小川由紀子

2020.03.10

バイエルン・ミュンヘンではチームのトップスコアラーとして国内リーグの連覇に貢献。(C)Getty Images

バイエルン・ミュンヘンではチームのトップスコアラーとして国内リーグの連覇に貢献。(C)Getty Images

 サッカーでは強豪として知られるバイエルン・ミュンヘンだが、バスケットボール部門は1946年の創立後25年ほどは国内を席巻したものの、その後低迷。2011年にトップリーグに復帰したばかりの若いチームだった。しかしそこから急成長を遂げ、2017-18シーズンは国内リーグとカップ戦の2冠を獲得。ウィリアムズを迎えた18-19シーズンは国内リーグ2連覇を果たし、欧州最高峰の舞台であるユーロリーグでもプレーオフ進出にあと1歩まで迫った。

 ドイツに渡ったウィリアムズがまず驚いたのは、レベルの高さ、そして1試合の勝敗が順位争いに大きく影響するユーロリーグでの、「一戦たりとも取りこぼしはできない」というヒリついた感覚だった。ダブルチームやトラップなどディフェンスの仕方にも違いがあり、それらを習得することで応用力も磨かれていった。

 ユーロリーグでは29試合に出場し、平均13.4点、4.2リバウンドでデビューイヤーを終えた。すると、同リーグ9冠を誇る欧州きっての名将で、現在フェネルバフチェを率いるジェリコ・オブラドビッチから直々に、「君にチームのオフェンスの核になってほしい」と誘いを受ける。
 
 その言葉に動かされ、ウィリアムズはトルコの強豪への移籍を決意。今シーズン序盤、チームは予想外の苦戦を強いられたが、現在はプレーオフ出場圏内まで挽回してきた。ウィリアムズもスターターに定着すると、チーム3位の平均11.3点、同2位の3.9リバウンドをあげるなど、安定したパフォーマンスを披露している。

 自身を「3番(SF)と4番(PF)のハイブリッド」と称するウィリアムズの学生時代からの特徴は、高い運動能力、そして決定力にある。ポゼッション数から算出した得点効率はアリゾナ大でもチームトップレベルで、プレーメーカーに乏しかった当時のチームでそれだけの効率を実現したことが、NBAのスカウトたちからの注目を集めた所以でもあった。

 また、レブロン・ジェームズ、カイリー・アービングという強力スコアラーとともにプレーしたキャブズ時代には、スポットアップ・シューターとしての素質も開花。ベンチプレーヤーながらキャリアで初めてプレーオフを経験した同チーム在籍時は、フィールドゴール成功率50.5%、3ポイント成功率40.4%と優秀な数字を残している。

「レブロンとカイリーは、『とにかくリバウンドを取れ。そして取ったら、迷わず突っ込め』といつも刺激してくれた」と、ウィリアムズは後のインタビューで振り返っている。
 
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