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NBA

「キャリアをさらに昇華させたい」NBA引退後に“イスラエル人”となった元オールスター、アマレ・スタッダマイアーの第2の挑戦

小川由紀子

2020.03.25

サンズ時代には新人王獲得に始まり、オールスター、オールNBAチーム選出など、リーグトップクラスのビッグマンとして活躍した。(C)Getty Images

サンズ時代には新人王獲得に始まり、オールスター、オールNBAチーム選出など、リーグトップクラスのビッグマンとして活躍した。(C)Getty Images

「NBAで対戦していたカスピや、ニックス時代にともにプレーしたクインシー・エイシーとまた一緒にやれるのも嬉しい」と話すアマレだが、それに加えて、彼には「イスラエルへの思い入れ」もある。

 母方のルーツがイスラエル系であると知ってから、オフにイスラエルを訪問するなど、ユダヤ教についても学んできた。そして2013年には、同国の人気クラブであるハポエル・エルサレムの出資者の1人となり、NBA引退後の2016~19年の2シーズンにわたってこのクラブでプレーしている。

 昨年3月にはイスラエル国籍も取得し、『ヨシャファト』というヘブライ名も授かった。ヨシャファトは、古代ユダ王国の国王の名前だ。
 
 イスラエル国籍を持っていたことも、マッカビへの移籍をスムースにした。イスラエルリーグは、外国人登録は8人まで、コート上では必ず自国選手が最低1人はプレーする、というルールがある。ユーロリーグ常連のマッカビは毎シーズン、アメリカ人選手を数多く抱え、今季も開幕時のロースターですでに7人。ところがそのうち2人が負傷し、さらに外国人2人を助っ人として迎えたため、その2人は規制のないユーロリーグのロースターにのみ登録、という変則的な形をとらざるを得なかった。契約後すぐに、両リーグで自国選手として登録できるアマレは、即戦力を求めていたマッカビにとって大きなアドバンテージだったわけだ。

 もっともアマレのマッカビ入団は、ハポエルサポーターにとっては「掟破り」だった。株主のひとりであるのは前述の通りだが、さらにアマレは2016-17シーズンにハポエルでプレーし、国内リーグの頂点に導いたヒーローだったのだ。その年のオールスターではMVPに選出されている。

 マッカビはハポエルのライバルクラブで、現在も国内リーグで1、2位を争っている。NBAでは、ライバルクラブに移籍することは決して珍しいことではない。ヨーロッパでも全くないことはないが、ファンのショックは相当なものだっただろう。
 
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