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NBA

【NBAデュオ列伝】カーター&T-MACーー親戚同士の2人が歩んだスター街道と訪れた別れ|前編

出野哲也

2020.07.23

 その孫の名がヴィンス・カーターだと知ってT-MACは驚いた。「俺たちが親戚同士だって?さっそくヴィンスに知らせなきゃ」。互いに一目置いていた存在が、思いのほか近い間柄だったことを知り、二人の仲は急速に深まっていった。

■親戚同士で同じNBAチームへ入団する幸運

 高校卒業時には名門ケンタッキー大への進学が内定していたT-MACだが、ドラフトが近づくにつれプロからの評価が高まったことでNBA入りを決意した。特に熱心だったのはシカゴ・ブルズのジェリー・クラウスGMで、スコッティ・ピッペンをトレードに出してまでT-MACの指名権を獲得しようとしていたが、マイケル・ジョーダンの反対に遭い挫折。結局トロント・ラプターズが全体9位でT-MACを指名した。

 ラプターズでの1年目は、T-MACにとっては試練となった。ヘッドコーチのダレル・ウォーカーに干されて試合に出られず、ひたすらベンチで耐える日々が続いた。「あまりにヒマだったから、1日20時間は寝ていたよ」とT-MACは当時の状況を振り返る。シーズン途中でウォーカーが解任され、ブッチ・カーターが新HCになってようやく、まともなプレータイムが与えられるようになった。
 
 T-MACがプロの厳しさを味わっている頃、カーターはUNCでの最後のシーズンを送っていた。個人技に重きを置かないUNCのプログラムでは、カーターの本来の能力は十分発揮できず、大学最優秀選手に与えられるネイスミス賞などの個人賞は、チームメイトのアントワン・ジェイミソンがほとんどさらっていった。3年生終了後、ジェイミソンとともにアーリーエントリーしたカーターは、ドラフト5位でゴールデンステイト・ウォリアーズに指名され、その直後に4位指名のジェイミソンとのトレードでラプターズに移った。

 トロントでの最初の年を鬱々として過ごしていたT-MACは、カーターの加入に大喜びした。カーターにとっても、異国カナダでのプロ生活を始めるにあたってT-MACの存在は心強かった。もともと親しかった2人の関係はチームメイトになってより強固になった。暇なときにはお互いの部屋を訪れ、テレビゲームに興じたり、ヒップホップのCDを聴いたりして過ごした。いつも一緒にいる2人を見て、ベテラン選手のディー・ブラウンは「あいつらは親戚同士というより一卵性双生児」と形容した。
 

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