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NBA

【欧州バスケ界の“仁義なき戦い”・前編】FIBAヨーロッパの暗躍により、ユーロリーグとBCL、欧州にふたつのコンペティションが誕生

小川由紀子

2020.09.21

 一方、パナシナイコスやマッカビ・テルアビブ、CSKAモスクワなど、旧体制側に残ることを主張したクラブもあった。よってFIBAヨーロッパは、“スープロリーグ(SuproLeague)”と名称を変えてコンペティションを続行。2000-01シーズンはふたつの大会が存在することになり、スープロリーグはマッカビ、新ユーロリーグはボローニャと、欧州チャンピオンが2チーム誕生した。

 ちなみに新生ユーロリーグの初代チャンピオン、ボローニャを率いていたのはエットーレ・メッシーナ。初代MVPは、サンアントニオ・スパーズに羽ばたく前のマヌ・ジノビリだった。

 欧州最高峰を掲げるコンペティションがふたつ存在するのは誰にとっても得策でないことは明らかであり、話し合いの末、スープロリーグは消滅。ユーロリーグの存続が決定すると同時に、それまでの歴史も受け継ぐことになった。現在、ユーロリーグで最多優勝を誇るのはレアル・マドリー(10回)だが、これはFIBAヨーロッパ時代の成績も含めたもので、その他のオールタイムレコードも同様である。
 
 しかしFIBAヨーロッパは、おとなしく指を咥えてユーロリーグの隆盛を見守っていたわけではなかった。彼らは着々と、欧州最高峰リーグの運営権を奪い返そうと計画を練っていたのだ。そうして浮上したのが“バスケットボール・チャンピオンズリーグ構想”である。

 2015年、FIBAヨーロッパは、ユーロリーグを主催するユーロリーグ・バスケットボールカンパニーの株主であり、ライセンスを持つ11クラブ(レアル・マドリー、バルセロナ、バスコニア、CSKAモスクワ、アルマーニ・ミラノ、ジャルギリス・カウナス、オリンピアコス、パナシナイコス、マッカビ・テルアビブ、フェネルバフチェ、アナドルー・エフェス)のうちの8クラブに「BCLに乗り換えないか」と持ちかけた。

 しかし誘いに応じるクラブはなく、それどころかちょうど同じ時期、ユーロリーグ側はプロテニスプレーヤーの大坂なおみ選手も所属する世界最大級のスポーツマネジメント会社、IMGとパートナー契約を結び、さらなるパワーアップを図っていた。
 
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