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NBA

両親が、恩師が、元同僚が語るルカ・ドンチッチ――スロベニアの“ワンダーボーイ”立志伝<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2021.05.30

 当時のユースチームのディレクターは、コートにいる時にルカのキャラクターが激変する点も、際立って印象的だったと振り返っている。

「コートの上では常に自信満々で、勝つことへの意欲に満ちあふれていた。そこへ向ける集中力ももの凄い。しかし試合が終わると、友達とジョークを言って笑い合う、ごく普通の少年に戻るんだ。彼には、この年にして人を惹きつける何とも言えない魅力があった」

 今季のルカは15個のテクニカルファウルを吹かれており、1試合の出場停止処分を受けるまであとひとつという瀬戸際にいる。ミスショットなど自分のプレーに納得がいかないと、ジャージーを引き裂くような、プロレスラー並の気性の激しさを露にしているが、コートに上がると人が変わるのは、少年の頃からだったようだ。母親も「普段は『周りの人の力になりたい』といった気持ちにあふれた優しい青年ですが、コートに上がると、よりエネルギッシュな面が出てくるの」と話している。
 
 ルカ少年は、自分の練習が休みの日には、プロチームのトレーニングに連れて行ってくれるよう母親にせがんだという。シニアチームのコーチは「おうちでおもちゃででも遊んでいなさい。休むことも必要だよ」と諭したが、引き下がることなく練習に励んだことが、結果的に彼を加速的に成長させることになった。

 コーチ陣は8歳の彼を14歳のチームの試合に出そうとしたこともあった。リーグの規定で許可されず、12歳のチームで妥協することになったが、3、4歳年上の子どもたちを相手にプレーするのは、ルカにとっては普通のことだった。

 子どもにとっての3、4歳差というのは大きい。小学2年生が6年生のチームに混ざってプレーしていたと考えると、改めてその凄さを思い知るが、体格的には10歳で彼の身長はすでに180cmを超えていた。靴のサイズも30.5cm。当時は4、5か月ごとにシューズを新調しなければならないほど、ぐんぐん成長していた。

 12歳の時に出場したユース代表の国際トーナメントの決勝戦、46-43で勝利した試合で、ルカは1人で41得点をマーク。また別の大会でも、54得点、11リバウンド、10アシストを記録するなど驚異的なパフォーマンスを連発していた彼は、その頃からスロベニアで“ワンダーボーイ”と呼ばれる有名人となっていた。
 
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