スロベニア代表を優勝に導き、その後フェニックス・サンズのヘッドコーチを務めたイゴール・ココスコフは、ルカの特性を「サイズと、パスの能力」だと語る。

「バスケットボールで一番指導が難しいのがパスだ。技術的なことではなく、いかにゲームメイクできるか、という点。優秀なパサー、そしてゲームメーカーになるには、ゲームを理解する力、コート上の状況を読む力が求められる。それがバスケットボールＩＱだ。彼は非常に、非常に頭のいい選手。状況を把握し、利己的になることなく仲間を生かすプレーができる。この年ですでに、彼のプレーは成熟しているよ」

　また、2010年に36歳で引退するまで、ユーロリーグでもプレーしている父サシャは、息子の特殊な才能についてこう語っている。
  「子どもの頃から、彼はちょっと違っていた。たとえば最終クォーター、勝負所のシーンでも、彼はやみくもにシュートを打ちに行ったりしない。シュート、あるいはペネトレイトに行く絶好のタイミングをじっくり見計らってから仕掛けるんだ。誰かに教えられたわけではないのに、彼はいつでも、どうすれば相手をかわせるかを知っていた。彼が絶妙なショットを決められる理由は、その特殊な能力にある」

　欧州最後のシーズンとなった2017－18シーズンは、国内リーグとユーロリーグでダブル優勝。そしてACB、ユーロリーグ、ユーロリーグファイナル４のＭＶＰを総なめにするという、まさに集大成と呼ぶにふさわしい年になった。

「できる自信はあったけれど、思っていた以上にやれているかもしれない」

　ルカは自身のＮＢＡでの活躍をそう語る。『The sky is the limit ～限界はない』という慣用句があるが、まさに彼のために存在するかのような言葉だ。

文●小川由紀子

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