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NBA

両親が、恩師が、元同僚が語るルカ・ドンチッチ――スロベニアの“ワンダーボーイ”立志伝<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2021.05.30

 そして13歳で、レアル・マドリードへの入団が決まる。単身でスペインに移住することになり「はじめの2、3か月はもの凄く大変だった。スペイン語はひと言も話せなかったし、親もいなくて1人だったから」と当時を振り返っているが、その年でセルヒオ・ユルやセルヒオ・ロドリゲスといったオリンピック出場選手たちとともにトレーニングする機会を得たことは、彼をさらに飛躍的に成長させた。

 数多くある息子の思い出のなかでも、特に印象に残っているものとしてルカの母親が挙げるのが、レアルのファーストチームで初めて3ポイントを決めた瞬間だ。それは2015年4月30日、16歳で迎えたデビュー戦だった。生まれて初めてプロ選手としてコートに入り、最初に手にしたボールで3ポイントを決めた瞬間、彼のバスケットボール選手としてのキャリアは運命づけられた。
 
 ゴールデンステイト・ウォリアーズなどでプレーし、2017年にスロベニア国籍を取得、レアルと代表でルカのチームメイトになったアンソニー・ランドルフは、スロベニア代表での初練習時の驚きを語っている。

「最初の練習時、彼は突発的にレーンを駆け上がるといきなりダンクをかましてみせた。これで17歳かよ!と仰天したね。調子に乗らせる気はないが、自分がこれまで見たなかで、能力的にはNo.1級だ。あの若さで、平均スタッツがトリプルダブル並なんだから!あのサイズでゲームをコントロールする術や、コートの内外で自分にのしかかるものと対処しているのは凄いよ」

 2017年夏の欧州選手権で、ルカはドラギッチやランドルフとともにチームを率いて、スロベニアに同国初の優勝をもたらした。準々決勝のラトビア戦では、のちにマーベリックスで同僚となるクリスタプス・ポルジンギスとのマッチアップから華麗なシュートを決めるなど、18歳にしてチーム最多の平均29.1分に出場し14.3点、8.1リバウンド、3.6アシストをマーク。小国スロベニアにとって歴史的な快挙を成し遂げた彼は、その勲章である優勝カップのイラストを背中に彫り込んでいる。
 
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