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NBA

消えない傷を負ったモスクワ五輪の“幻のアメリカ代表”「スポーツと政治は無関係」の理念が踏みにじられる大会に【五輪史探訪】<DUNKSHOOT>

出野哲也

2021.07.05

 バスケットボール代表の1人に選ばれていたダニー・ブラネス(当時ユタ大/元シアトル・スーパーソニックス/現オクラホマシティ・サンダーほか)の嘆きは、アメリカ選手団の感情を的確に表現していたと言っていい。彼らはホワイトハウスに招かれ、カーターから慰めの言葉をかけられたが、なかには招待を拒む者も現われた。

 バスケットボール競技ではアメリカとカナダ、中国、アルゼンチンのほか、アメリカの自治領プエルトリコも、出場権を獲得していながら不参加。代わって出場した5か国のうち、インドとスウェーデンにとっては、今のところこれが最初で最後のオリンピック出場となっている。
 
■豪華メンバーだった“幻の代表”はエキシビションでNBA選抜を撃破

 幻となったアメリカ代表には、十分に金メダルを獲得できたはずのメンバーが揃っていた。インディアナ大の1年生アイザイア・トーマスをはじめ、彼の少年時代からの友人マーク・アグワイア(当時デポール大/元ダラス・マーベリックスほか)、バック・ウィリアムズ(当時メリーランド大/元ニュージャージー/現ブルックリン・ネッツほか)、ローランド・ブラックマン(当時カンザス州大/元マーベリックスほか)、そしてケンタッキー大のサム・ブーイ(元ポートランド・トレイルブレザーズほか)といった、のちにNBAで活躍したり、ドラフトで上位指名されたりする逸材がゴロゴロいたのである。

 モスクワへ向かう代わりに、彼らは“ゴールド・メダル・シリーズ”と銘打ったエキシビションゲームに参戦。NBAの選抜チームや1976年モントリオール五輪の代表メンバーと一戦を交えることになった。

 6月16日、当時のロサンゼルス・レイカーズの本拠地ザ・フォーラムで行なわれた初戦は、マイケル・ブルックス(当時ラサール大)が18得点をあげる活躍で、代表チームが97-84でNBA選抜を撃破。この6日前に行なわれたNBAドラフトで、サンディエゴ(現ロサンゼルス)・クリッパーズから9位指名されていたブルックスにとっては面目躍如だった。
 
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