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NBA

スーパーソニックス移転の“悲惨さ”を伝えた熱き男たち。1万ドルを費やし世界へ訴える【NBA秘話|後編】<DUNKSHOOT>

大井成義

2021.10.05

ゾンビに扮したバクスター。2012年のファイナルでは、ベンチの真後ろに陣取りサンダーにプレッシャーをかけた。(C) Getty Images

ゾンビに扮したバクスター。2012年のファイナルでは、ベンチの真後ろに陣取りサンダーにプレッシャーをかけた。(C) Getty Images

ESPN:2人はシアトルのファンの中でも、特に大きなグループの代表的存在?
バクスター:俺たちの背後にある大きなうねりのためでなければ、こんなメイクなんてしないよ。206(シアトルとその近郊の市街局番)、ワシントン州、そして世界中のスーパーソニックスファンのためにやってるんだ。

ESPN:アリーナのスタッフや、他のファンの反応は?
リード:何の説明もなくサインボードを没収された。問題がないことを事前に確認したんだけどね。

ESPN:サンダーのベンチやチーム関係者から、何か反応やコメントは?
バクスター:俺たちに親切にしてくれた席の案内係がいて、何かまずい状況になったら知らせてくれと頼んどいた。サインボードを取り上げられた後、サンダーの(ベネット)オーナーが、俺たちがそこにいたことに激怒していると言ってたな。
リード:OKCの選手を恨んでいるわけじゃない。でも、クレイ・ベネットがチームを所有している限り、サンダーを応援するつもりはないね。彼らは俺たちが一番愛していたものを奪い取った。NBAがシアトルに戻るまで、俺たちは何度でも立ち上がるつもりだよ。

 注目度の高いプレーオフの場にサンダーが進出したら、また彼らはゾンビのメイクをしてサンダーベンチの真後ろに姿を現わすのだろうか。

 シアトルのソニックスファンの間で、もう10年以上もスターバックスコーヒーのボイコットが続いているという。僕は特にソニックスファンというわけではなかったが、なんとなく応援したくなってくる。これほど熱く、忠誠心にあふれたファンを、ベネットやスターンはよくもまあこんなにあっさりと裏切り、見捨てたものだなあと思う。ファンあってのプロスポーツチーム、これだけは永遠の真理である。
 
■ソニックスと運命をともにした反骨のスポーツアナウンサー

 もう1人、ソニックス移転に際し男気を見せた人物がいる。21年間に渡り、チームの専属アナウンサーを務めたケビン・カラーブロウだ。

 1987年からソニックスの専属となったカラーブロウは、計9度ワシントン州の“スポーツキャスター・オブ・ザ・イヤー”を受賞。リーグの中でも、特に優秀なアナウンサーの1人とみなされていた。ケンプの“レインマン”というニックネームの生みの親でもある。

 ケンプがプロ入りして2年目のある日、カラーブロウは“Rain Man”(ダスティン・ホフマンとトム・クルーズ出演の1988年アカデミー賞受賞作品)のポスターを目にする。そこからヒントを得て、「ケンプはゲームを支配(Reign)し、繰り出されるダンクはまるで雨(Rain)。彼こそまさしく“The Reign Man”だ!」と実況。雨の多いシアトルの街にぴったりのそのニックネームは、あっという間に定着したのだった。
 
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