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NBA

グローバル化が進むNBAに新たな歴史。ネミーアス・ケイタがリーグ初のポルトガル人選手になるまで<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2021.12.20

 サッカーの世界的な大スター、クリスティアーノ・ロナウドを誇りとするこの国において、バスケットボール人気は高くない。街中にはコートもほとんどなく、誰もがプレーできる環境ではないが、そのなかでもケイタが育ったリスボン郊外のバレイロは、バスケ人気が高い部類に入る土地柄だった。

 18歳の時にフットボールで全国区の人気を誇るプロクラブ、ベンフィカのバスケ部門に入団。Bチームに属しながら、ファーストチームにも参加してプロの試合にも出場していたケイタは、その頃すでに地元では人気者だった。そんな彼の噂はヨーロッパ内のみならず、海を越えたアメリカまで轟き、スカウトマンも彼のプレーを視察に訪れるようになっていた。

 2018年の夏にブルガリアで開催されたU-20欧州選手権ディビジョン Bで、ポルトガル代表の全7試合に出場。チームハイの平均10.3リバウンドに加え、14.1点、2.9ブロックをマークしたケイタは、この大会でさらにアメリカの大学から注目を浴びた。

 しかし一足早く、4月から交渉を始めていたユタ州大学(USU)に進学を決めた。
 
 単身で渡米しての新生活では、ホームシックになったり、大学の食堂が“バイキング形式”だったため、入学後あっという間に7kgも太ってしまったというエピソードもある。ただ、言葉に関しては『プリズン・ブレイク』といった人気テレビドラマシリーズを観てみるみる上達。肝心のバスケでも1年目からレギュラーに定着し、平均11.8点、8.9リバウンドを記録して8年ぶりのNCAAトーナメント出場にも貢献した。

 コーチのクレイグ・スミスは「彼に限界はない。ネミーアスが将来何を成し遂げようと、私は驚かない」と、ポルトガルから来た新入生のポテンシャルに早い時点から確信を抱いていた。

「こちらでは、よりフィジカルなプレーが多い。ヨーロッパのプレースタイルは、ゲームの流れを読み、自分が何をすべきかを事前に把握することが重要になる。どちらも難しい。こっちは凄く速いけど、向こうは考えないといけないから」
 
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