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NBA

グローバル化が進むNBAに新たな歴史。ネミーアス・ケイタがリーグ初のポルトガル人選手になるまで<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2021.12.20

 アメリカでのプレーの印象についてそう話していたケイタが最も苦労したのが、ファウルへの対応。アメリカの審判は、ヨーロッパでは流すようなコンタクトプレーにも笛を吹き、ファウルアウトする試合もあった。

 1年目にして手応えを得た彼は、ドラフトへのアーリーエントリーを宣言。その後翻意して撤回すると、2021年夏まで大学に在籍し、3年間で86試合に出場して平均13.2点(フィールドゴール成功率 59.5%)、9.0リバウンド、2.0アシスト、2.5ブロックを記録した。さらに2019、21年には地区の年間ベストディフェンダー賞に選ばれ、通算219ブロックとUSUの歴代新記録も樹立している。

 両手を揃えてジャンプする、通称“バレーボール・ブロック”は、彼のシグネチャームーブのひとつだ。スタイルとしては古典的なセンターといった感じで、アウトサイドシュートを得意とするタイプではないが、ゴール下の動きはダイナミック。USUのスミスHCも「彼は非常に温和な青年だが、コートでは決して優しくはない。彼には粘り強くプレーする精神的な強さもある」と評価している。

 大学では憧れのマイケル・ジョーダン(元シカゴ・ブルズほか)が着けていた23番を着用。ただ、キングスではルイス・キングがすでに袖を通していたため、88を選択した。
 
 ドレッドヘアの“88”がキングスのホームコートを駆けた金曜の試合は、「自分たちの国にとっては歴史的な出来事だ」とポルトガル人記者が言ったのを聞いて、2004年にフェニックス・サンズで 田臥勇太が、日本人として初めてNBAデビューした時の感動を思い出した。

「バスケットボールが決して盛んではないこの国で彼のような先駆者が出現したことは、少年たちにとって大きな夢や目標を与えてくれる」

 この試合は、ポルトガル時間で早朝6時ティップオフだったが、多くの人々が早起きしてライブ中継にかじりついていたことだろう。

「僕のプレーを見るために起きてくれているのは、本当に特別なことだと感じる。いつも機会があるたびに僕を支えて応援してくれる彼らに本当に感謝したい」と、ケイタも試合後に故郷の人々にメッセージを送った。

 ケイタの地元の町には、20m大の彼の壁画がある。ポルトガルのバスケ史に名を刻んだ88番の活躍が、これから先も見られることを祈って。

文●小川由紀子

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