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NBA

コビー・ブライアントが死の直前に送った3通のメッセージ。レブロンとは“ライバル”から“ブラザー”の関係に【NBA秘話|前編】<DUNKSHOOT>

大井成義

2022.02.18

 最期となった日、コビーは数時間の間にテキスト(携帯番号に送るショートメッセージ)やSNSのメッセージをいくつか送信し、電話もかけている。もちろん、事故が起きることなど知る由もなかったわけで、言わばごく日常的な行為だった。それらの内容には、興味深いことに共通点が見て取れる。

 それは、“人を思いやる心”だ。世界で最も有名なセレブの1人であり、多忙を極める男が、時間を捻出して、さほど重要とも急を要するとも思えないメッセージを送る。やれば簡単なのだろうが、コビーほどの立場にある者ならなおさら、マメにできることではないだろう。その日はたまたまだったのかもしれないが、そうであるにしろ、そこにコビーの人間性がそこはかとなくにじみ出ていることは間違いない。

 事故の直前、コビーが最後の交信を交わした3人の仲間たち。ちょうど1年前、世界中に衝撃を与えた痛ましい出来事の陰で、ほとんど話題になることのなかった、ささやかな物語である。
 
<レブロン・ジェームズ>
■通算得点記録で自身を抜いたライバルにかけた祝福の電話


 墜落事故前夜の2020年1月25日夜、レイカーズは敵地フィラデルフィアでシクサーズと対戦し、レブロン・ジェームズはコビーの持つ通算得点記録3万3643点を抜いて歴代3位に浮上した。試合終了の10分前、コビーはツイートを投稿し、レブロンを“my brother”と称して、記録更新への祝意とリスペクトの気持ちを表わしている。

 また、スポーツ情報サイト『The Athletic』 のシャムズ・シャラニアが入手した情報によると、試合後レブロンのiPhoneにコビーからお祝いの電話がかかってきて、レブロンはスピーカーフォンで通話していたため、レイカーズのチームメイト数人が傍で会話を聞いていたそうだ。シャラニアはツイッターに、コビーとレブロンによる最後の会話だったと書いている。だが、実はそれが最後ではなかった。

 翌26日、レブロンはフィラデルフィアからロサンゼルスへ戻るチーム専用機の機中で、コビーの事故死を知る。タラップから降り、友人や関係者と泣きながらハグを交わす姿を、望遠レンズで撮影した映像がネットにアップされている。その日レブロンからメッセージが発せられることはなく、翌日インスタグラムに2人のツーショット写真とエモーショナルな文章が掲載された。そのなかに、次のような記述がある。
 
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