専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
NBA

国を追われても信念を貫き、ノーベル平和賞にノミネートされたエネス・カンター“フリーダム”の闘い<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2022.02.21

 ワシントンDCのホワイトハウス前で演説を行なったり、試合では“Free UYGHUR”(ウイグルに自由を)というメッセージを描いたシューズを履いたりもした。シューズといえば、チベット自治区の旗をデザインしたシューズを履いたその日から、中国でセルティックスの試合が中継されなくなった、というのは有名な話だ。

 そして彼のこうした言動が、NBAでのキャリアに影響しているという声も上がり、様々な国のジャーナリストが「ビジネス的に中国と友好関係を保ちたいNBAが、フリーダムを排除しようとしている」という主旨の発信をしているのも見受けられる。

 『The Atlantic』のジョージ・パッカー記者によれば、30人のノーベル賞受賞者がセルティックスに対し、フリーダムを支援し、チームにとどめておくよう求める手紙を出していたそうで、またカンター本人も「放出はない」と思っていたとのことだが、冒頭のように彼はトレードされ、そしてNBAから姿を消すことになった。
 
 カンターは、NBAコミッショナーのアダム・シルバーと面談した時「何を発言するのも君の自由だが、これがビジネスだということは、誰もが知ってのとおりだ」と言われたことを明かしているが、その言葉が身に沁みる結果になったということだ。

 ただ、選手のなかには彼を陰でサポートしている者もけっこういるらしく、ロサンゼルス・レイカーズ戦ではフリースローラインに立った彼に対し「君がやっていることはとても勇気のあることだ。これからも声を上げ続けてくれ」と囁いた選手もいたという。逆に「俺のSNSはフォローしないでくれ」と、関係を断ち切ることを望む選手もいるそうだ。

 一方で、ある球団のGM(ゼネラルマネージャー)は匿名で「 (NBAの)誰かが彼とサインするかどうかはわからない。多分、そうはならないだろう。バスケットボール的にそれは疑問だ。その他のことが問題になるかどうかはわからない。彼の言動が原因で契約を得られないとは思わない。彼は守備ができないし、NBAのゲームは変わってきている。彼のプレーは、実年齢よりずっと年上の選手のようだ」と米メディア『Heavy.com 』にコメントしている。
 
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号