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NBA

アービングとトーマス――のちにトレード相手となる2人が1位と最下位で指名された2011年【NBAドラフト史】

大井成義

2019.11.29

トップ指名のアービング以上の実績を誇るのが15位で指名されたレナード。ファイナルMVP、オールNBA1stチーム、最優秀守備選手賞に2度選出されている(C)Getty Images

トップ指名のアービング以上の実績を誇るのが15位で指名されたレナード。ファイナルMVP、オールNBA1stチーム、最優秀守備選手賞に2度選出されている(C)Getty Images

 上位3チームの1位指名権獲得率は、ウルブズが25.0%、キャブズが19.9%と2.8%、ラプターズ15.6%。ロッタリー運にとことん恵まれないウルブズが、球団初となる1位指名権をついに獲得するか、と期待されたが、蓋を開けてみれば史上3番目(当時)の大アップセット劇が繰り広げられたのだった。ピンポンボールマシンによる抽選の結果、キャブズの持っていた8番手(獲得率2.8%)の方に、なんと1位指名権が転がり込む。

 約1年前の2010年7月に、チームの大エースであり看板選手だったレブロン・ジェームズがFAでヒートに移籍したため、キャブズは再建モードへの突入を余儀なくされていた。レブロンの離脱に怒ったダンが、書面でレブロンを罵るなど大人気ない態度を取り、全米を巻き込んでの一大騒動となった。そういった経緯を経たうえでの、奇跡的とも言える1位指名権獲得に、会場にいたダンは興奮した様子で「新たな始まりだ」と語り、喜びを爆発させた。

 2013年と2014年のロッタリーにもチームの代表として参加したニックは、繰り返し奇跡を演じてみせた。2013年には3番手の確率(15.6%)から、14年には9番手(1.7%、史上2位タイの大番狂わせ)から1位指名権をチームにもたらし、アンソニー・ベネットとアンドリュー・ウィギンズをそれぞれ獲得。ニックはキャブズのグッドラックチャーム(ラッキーアイテム)的な存在となったのだった。
 
■地元の有望選手を逃しながら歓喜に沸くラプターズ

 2011年のドラフトで、1位指名の最有力候補に挙げられていたのは、デューク大1年の新鋭ポイントガード、カイリー・アービング。高校時代にナイキ・フープサミットやマクドナルド・オールアメリカンゲームに出場し、ジョーダンブランド・クラシックではMVPを獲得している。高校トップクラスの評価を得て、強豪デューク大に進学した。

 全米の注目を集める存在となったアービングだったが、シーズン9試合目に右足親指を負傷し、3か月半の離脱を強いられる。NCAAトーナメント1回戦で復帰を果たすも、チームはスウィート16で敗退。アービングが大学時代にプレーした全11試合中、唯一の負けだった。

 1年時の成績は平均17.5点、4.3アシスト、3ポイント成功率46.2%。圧倒的な数字は残せなかったものの、天性のセンスや突出した得点能力をはじめとする並外れた才能の片鱗を随所で見せつけ、わずか11試合の出場ながら、1位指名はほぼ確実と見られていた。ドラフト中継番組の冒頭で流されたドラマ仕立てのイントロ映像でも、主役は完全にアービングであり、各種メディアの予想でも1位の座はアービングが独占。強いて対抗馬を挙げるならアリゾナ大2年のスモールフォワード/パワーフォワード、デリック・ウィリアムズになるが、それでもその差は大きく開いていた。
 

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