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NBA

河村勇輝の相棒アウダ、A東京のサイズらBリーグ戦士も参戦、小国ベルギー、フィンランドの奮闘【ユーロバスケット2022総括Part.3】<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2022.09.21

■小国の奮闘
 グループAでスペインを破り、ラウンド16でもスロベニア相手に善戦したベルギー、準々決勝でスペインをあと一歩のところまで追いつめたフィンランド、そしてボスニア・ヘルツェゴビナやエストニアなども、わずかな差で決勝トーナメント入りは叶わなかったが、グループリーグを突破していても不思議ではない戦いぶりを見せてくれた。

 ポーランドに敗れた準々決勝戦の後にルカ・ドンチッチは「今回のユーロバスケットは本当に面白い。どこが勝ってもおかしくない」とコメントしていたが、ベルギーやポーランド相手に苦戦した、偽りない本音だろう。

 欧州全体でレベルは確実に向上している。

 エストニア代表のHC(ヘッドコーチ)は、「さらにチームを発展させるには?」との問いに、「選手たちがより高いレベルのリーグでプレーし、同時にコーチも、ハイレベルな場で経験を積むこと。そして願わくばNBA選手を輩出すること」と回答したが、NBAはおろかユーロリーグの選手もいないベルギーの善戦やポーランドの例もあり、NBA選手がいなくとも、ベスト4は十分に狙えることは証明された。
 
 また、5戦全敗に終わったB組のハンガリー、D組のオランダも、ハンガリーはフランスと4点の好勝負を見せるなど、いずれも決勝トーナメント進出は十分狙える戦いぶりだった。
 
 一方で、最も期待を裏切ったチームは、5試合での得失点差が-132のC組イギリスだ。FIBAの大会には、オリンピック同様、『グレートブリテン(英国)』として出場しているが、協会の運営予算は乏しく、選手が自腹で遠征費用をまかなったり、コーチ陣が無給のボランティア状態だったりと、この経済大国にして耳を疑う状況に置かれている。

 今大会では、出場24カ国の中で唯一、自国の放送局がこの大会の放映権を購入しなかった国として、メディアの間でも大きな話題となった。

 また予算だけでなく、クリーブランド・キャバリアーズのアシスタントコーチ、ネイサン・レインキングにHCを委ねるといった、協会の運営方針に大きな問題がある。

 しかしそれでも、今回のこの惨敗が教訓になりそうな気配はない。国内でのバスケ人口は非常に多く、ポテンシャルはあるだけに残念だ。

 ユーロリーグは約2週間後、NBAは約1ヶ月後に開幕する。心身両面の疲労から十分に回復するには時間が必要だろうが、充実した経験も残念な思いも、すべてを新シーズンのパフォーマンスに注ぎ込んでくれることだろう。

文●小川由紀子
 
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