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本人の願いも虚しくカリーを強行指名したウォリアーズと“本気度”の差で“大魚”を逃したニックス【NBA秘話・後編】<DUNKSHOOT>

大井成義

2022.09.29

09年ドラフト当時、サンズGMとしてカリー(右)の獲得を熱望したというカー(左)。その5年後にウォリアーズHCに就任した。 (C) Getty Images

09年ドラフト当時、サンズGMとしてカリー(右)の獲得を熱望したというカー(左)。その5年後にウォリアーズHCに就任した。 (C) Getty Images

■獲得への“本気度”の差で“大魚”を逃したニックス

 悲願のカリー獲得に向けて、ニックスのドニー・ウォルシュGMは水面下で動いてはみたものの、なかなか思い通りには行かなかった。一方で、6位指名権を持ち、“スパニッシュ・センセーション”ことリッキー・ルビオの獲得を目論んでいたウルブズは、より可能性を高めるためドラフト前日にウィザーズとの間でトレードをまとめ上げ、5位指名権も確保している。

 その事例からも、ウォルシュが5位指名権や、それより前の順位をトレードで獲得することは、決して不可能ではなかったはずだ。そうすれば、カリーは間違いなくニックスのものになっていた。

 ウォルシュにとって、カリーの代理人オースティンは頼みの綱だった。オースティンの回想によると、ウォルシュはカリーが5位か6位でウルブズにさらわれることを警戒していたという。その理由は、7位のウォリアーズには、ガードの若手有望株にモンタ・エリスがいたから、あえてカリーを加える必要はないだろうというもの。
 
 対してオースティンが警戒していたのはウォリアーズだった。実際、カリーのプレーを大層気に入っていたネルソンHCは、エリスとカリーの超攻撃型バックコートコンビを構想していた。

 オースティンはウォルシュに、カリーをニックスに入団させるため、あらゆる手を尽くすと約束した。当時ウォリアーズに取った厳しい対応を、オースティンは後に告白している。

「ライリーが電話をかけてきて、カリーのワークアウトを見学できないか尋ねてきたが、私の返事は『いや、できない』だった。すると彼は、カリーと話せないか尋ねてきたが、私は『ダメだ、できない』と答え、続けてこう告げた。『ステフィンはニューヨークに行くことを望んでいる。彼から離れてくれ』。それでもライリーは、『カリーを獲得するつもりだ』と言い続けていた。説得のしようがなかったよ」。

 オースティンはその他にも、2位グリズリーズと3位サンダーから要請されたカリーとのワークアウトも拒否している。
 
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