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NBA

本人の願いも虚しくカリーを強行指名したウォリアーズと“本気度”の差で“大魚”を逃したニックス【NBA秘話・後編】<DUNKSHOOT>

大井成義

2022.09.29

 迎えた運命のドラフト本番、ウォリアーズは7位でカリーを指名。目の前で獲物をさらわれた8位のニックスは、セカンドオプションだったアリゾナ大のパワーフォワード、ジョーダン・ヒルを獲得した。ヒルはニックスで24試合プレーした後、トレイシー・マッグレディー絡みの三角トレードでロケッツに移籍している。

『YouTube』にアップされている2009年ドラフトの中継映像を改めて観てみた。7位ウォリアーズの指名発表の際、デイビッド・スターンNBAコミッショナーがカリーの名前を読み上げた途端、地元ニューヨークのファンで埋まった会場はブーイングに包まれ、頭を抱えたり、両手を広げて不満をアピールするニックスファンの悲痛な姿が映し出されていた。

 カリー親子同様、彼らもカリーのニックス入りを渇望していたことが窺い知れる。続いて8位ニックスの指名選手としてヒルの名前が発表されると、今度は違った意味の、本当のブーイングが巻き起こった。どうやらニックスフロント陣より、ファンの方が選手を見る目があったようだ。
 
 1975年、ニックスへの移籍を切望していた地元出身のスーパースターをみすみす取り逃し、その選手はレイカーズと契約を結んだ。それ以降、レイカーズは17回のファイナル進出と、11回の優勝を遂げている。

 2009年、ニックスへの入団を熱望していた未来のスーパースターを獲得できず、その選手はウォリアーズの一員となった。それ以降、ウォリアーズは今季も含め6度のファイナル進出と、4度の優勝を果たした。

 そして渦中のニックスは、1973年に2度目の優勝を達成してからというもの、2度ファイナルに駒を進めただけで、丸50年間優勝から遠ざかっている。

■2009年NBAドラフトの上位指名選手
Pick 選手名(ポジション) 指名チーム/出身校/NBAキャリア
1 ブレイク・グリフィン(PF) クリッパーズ/オクラホマ大/2010-
2 ハシーム・サビート(C) グリズリーズ/コネティカット大/2009-14
3 ジェームズ・ハーデン(SG) サンダー/アリゾナ州大/2009-
4 タイリーク・エバンス(SG) キングス/メンフィス大/2009-19
5 リッキー・ルビオ(PG) ウルブズ/(スペイン)/ 2011-
6 ジョニー・フリン(PG) ウルブズ/シラキュース大/2009-12
7 ステフィン・カリー(PG) ウォリアーズ/デイビッドソン大/2009-
8 ジョーダン・ヒル(PF) ニックス/アリゾナ大/2009-17
9 デマー・デローザン(SG) ラプターズ/サザンカリフォルニア大/2009-
10 ブランドン・ジェニングス(PG) バックス/オークヒル・アカデミー高/2009-18

文●大井成義
※『ダンクシュート』2022年8月号掲載原稿に加筆・修正。
 
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