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NBA

NBAと“ラマダーン”。アービング、オラジュワン、ブラウンらが語る「シーズン中の断食との付き合い方」<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2023.04.15

 試合中にタイムアウトなどの中断が多く、選手交代を繰り返すことができるバスケットボールは、プロスポーツのなかでも対応しやすい競技であると言われている。アービングも昨年のラマダーン期間はプレーオフを戦っていたが、「ベンチに下げられたタイミングで断食を終了し、ロッカールームで飲食物を摂取する」というルーティンを体得していたそうだ。

 また、アダム・シルバー・コミッショナーはイスラム教徒の選手たちへの配慮に積極的に取り組み、この期間中の特別な食事メニューや食事時間、栄養管理をアレンジしたり、この習慣を人々に広く認知してもらうためのイベント開催なども推奨しているという。それは選手たちのサポートに役立つことはもちろんだが、全世界にファンをもつNBAのボーダーレス化にもつながる。

 NBAでは、1970年代に活躍したカリーム・アブドゥル・ジャバー(元ロサンゼルス・レイカーズほか)の時代から、1990年代のアキーム・オラジュワン(元ヒューストン・ロケッツほか)なども、通常通りにシーズンをこなしながらラマダーンを行なっていたという歴史もある。フィットネス管理の専門家によれば、ラマダーンの身体への影響が最も出るのが1週目で、その後は睡眠やカロリーの摂取状況などに身体が慣れてくると、問題なく過ごせるのだそうだ。
 
 しかも、このラマダーンはそもそも断食が目的ではない。争い事などを避け、自身を清めることを目的としているため、感性や集中力がより研ぎ澄まされて、パフォーマンスが上がることも多いという。

 アービングはブルックリン・ネッツに所属していた昨プレーオフの最中に「世界中の兄弟、姉妹たちが一緒に断食していると思うと“自分は1人じゃないんだ”と思えて力がみなぎる」と語っていた。

 球界きってのインテリ選手といわれるボストン・セルティックスのジェイレン・ブラウンも、ラマダーン開始直後の3月24日のインディアナ・ペイサーズ戦のあと「このラマダーン期間は、改めて最高の自分になることを意識する機会」であり「日常の雑念や ネガティブなことに向き合って、神様や逆境との関係を再確認できる」とコメント。この試合で27得点、7リバウンドをマークした彼は、次のサンアントニオ・スパーズ戦では41得点、13リバウンドとダブルダブルでセルティックスの快勝(137-93)に貢献している。
 
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