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NBA

大ケガを乗り越え躍動するジャマール・マレー。彼のルーツとなった“父の教え”と“ブルース・リー”<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2023.04.25

「この先何が起こるのか、回復するのか、結果はどうなるのかわからない、未知の世界にいるような気持ちだった」と、マレーは男性誌とのインタビューの中で故障した初期の頃の心境を振り返っている。

 しかし落ち込んでいる暇はなかった。ベッドで過ごしていた期間は、50得点を奪った試合のビデオを毎日観ていたという。

「自分の良い試合も悪い試合も観た。毎日、自分の練習やスクリメージを観て、フットワークを観察して、普段は気づかないような些細なこともメモしながら何度も巻き戻して観た」

 同じような大ケガを経験した先輩プレーヤーたちにもアドバイスを仰いだ。ヴィクター・オラディポ(マイアミ・ヒート)、ダニーロ・ガリナーリ(ボストン・セルティックス)、ザック・ラビーン(シカゴ・ブルズ)らは口を揃えて「リミットを超えずにどんなことができるのか、怖がらずに自分の身体で試してみることだ」と助言してくれたという。
 
 しかしそうしたアドバイスやビデオでの勉強も、自分の意識が正しい方向にセットされていなければ効果をもたらさないことを、マレーは知っていた。生後3か月の彼にバスケットボールを触らせ、アスリートとして育てた元スプリンターの父親が「あらゆる行動は、目的をもってやるべき」と、マレーに子どもの頃から教え込んでいたからだ。

 父ロジャーは、スクリメージをする時も常に「今日はシュートを打たずにとにかくアシストだけに集中」「今日はすべてのシュートを左手で打つ」といった課題を設け、目的意識をもって練習に取り組む習慣をつけていたという。おかげで彼は、両手を同じように使いこなせるようになった。

 ちなみに、ブルース・リーに傾倒していた父はマレーにもカンフーをやらせていたというから、マレーが時折見せる360°ダンクや対空時間の長いダブルクラッチのような妙技には、マーシャルアーツで体得したボディコントロールも生かされているのかもしれない。また、カンフーだけでなく、どんな獰猛な敵にも恐れず向かっていくブルース・リーの強さの秘密は精神の鍛錬からきていることを学んだ父は、マレーにも瞑想を習慣づけた。
 
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