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NBA

【NBAスター悲話】ショーン・ケンプ――酒とドラッグで凋落した永遠のマンチャイルド【後編】

大井成義

2020.01.24

 1995-96シーズンは、ケンプのキャリアにおいてピークとも言える年だった。過去最高の平均19.6点、11.4リバウンドを奪い、チームも球団最多勝利数を再び更新する64勝を記録。プレーオフでも並みいる強敵を撃破し、ソニックスは17年ぶりにNBAファイナルへと駒を進めた。

 ファイナルでは、レギュラーシーズン72勝10敗という驚異的なNBA新記録を樹立したジョーダンズ・ブルズに2勝4敗で退けられるも、ケンプはシリーズ平均23.3点、10.0リバウンド、2ブロックと目覚ましい活躍を見せ、ファイナルMVPの投票では受賞したジョーダンに次ぐ票数を獲得。もしケンプが受賞していれば、1969年のジェリー・ウェストに次いで史上2人目となる、負けチームからのMVP受賞者の誕生だった。敗れはしたが、ケンプとペイトンのワンツーパンチを持ってすれば、近い将来ソニックスがリーグの頂点に立つ日が必ずや訪れるだろう、そう誰もが思っていた。

 しかし――。翌シーズンから、ケンプの頭上に暗雲が立ちこめることになる。
 
■酒、ドラッグによって凋落した跳人の末路

 ケンプはアルコールとドラッグにどっぷり浸かっている、そんな噂が流布し(結局は事実だったが)、それをチーム内部の人間がメディアに流しているとケンプは疑った。また、ジョージ・カールHCとの不仲も深刻化。そしてケンプが最も憤りを感じ、許容できなかったのはサラリーの問題だった。

 新加入の若手センター、ジム・マッキルベインが平均3.8点、4.0リバウンドという地味な成績にもかかわらず、7年3300万ドルという大型契約を結んだ。それに対し、ケンプはサラリーキャップの絡みもあり年360万ドルという金額に押さえられている。絶対的エースにして看板選手である自分が、チーム3番目のサラリーに押さえられていることに納得がいかない、そうケンプは主張しフロントと衝突。

 さらには、練習への遅刻やサボりが目立つようになり、移動の飛行機に乗り遅れることも何度かあった。そしてシーズン終了後、ケンプはついにトレードを要求する。もう2度とソニックスでプレーしたくはない、もしトレードで出してくれないのならベンチで1年間過ごした方がマシだ、そう彼は言い放った。
 

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