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NBA

NBAのヨーロッパ進出はユーロリーグにとって“脅威”に。伝統、人気、市場拡大の間で揺れる世界No.2リーグのジレンマ<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2025.04.13

 そして以前にもお伝えしたように、パーカーはNBAヨーロッパ参戦に意欲的だ。

 スペインの2強については、この理事会後の報道によれば、現時点では明確にライセンス更新の意思を表明していない。

 歴代最多の11勝を誇るレアル・マドリードは、まさにユーロリーグの象徴的存在。その彼らのライバルであるバルセロナもファイナル4の常連だ。そんな彼らが、NBAヨーロッパへの鞍替えに心を動かされているとしたら、その理由に挙げられるのはマーケットの拡大だ。

 プレーの質の高さで知られるユーロリーグは、欧州のバスケファンの間で絶大な人気を誇り、そのステータスはすでに完全に確立したものとなっている。しかしそこでの問題点は、コアなファン層が確立しているが故に、それ以外の層への認知度が低く、より幅広い層へのアピール力が限られてしまっていることだ。

 その点“NBA”のネームバリューは絶大だ。欧州内でもライトな層や海外のバスケファンは、NBAという冠がついていることで興味を惹かれ、より導入しやすくなるだろう。
 
 NBAがこのヨーロッパ構想で目指しているのも、まさにそういったファンの取り込みであるから、シンプルに欧州バスケットボールのマーケット拡大に目を向けるなら、両者の思惑は合致することになる。

 パーカーが「欧州バスケの未来のため」と強調しているのも、こうした点を踏まえてのことだ。(同じように、FIBAとの共同プロジェクトで2019年に立ち上げたアフリカ大陸リーグBALは莫大な負債を抱えているため、それを理由にヨーロッパ構想を危惧する声もあるが……)

 パナシナイコスのエルギン・アタマンHC(ヘッドコーチ)のコメントが、実情をよく表わしている。

「ユーロリーグはNBAと比較しても見ていてより面白いが、経済的には同等の価値を生み出せていない。チーム予算には深刻な問題がある。現時点では、NBAのマーケティング力はユーロリーグにとって有益であると思う。よって、もしNBAがこの点においてのみユーロリーグをサポートするならメリットがある」
 
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