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NBA

2012、13年ヒート連覇の立役者に。当代随一の頭脳派、シェーン・バティエの華麗なるキャリア【NBA名脇役列伝・後編】

出野哲也

2020.04.23

ヒートではウェイド(左)らビッグ3をサポートするだけにとどまらず、ファイナルで値千金の活躍を披露。連覇に貢献し、引退後の現在もチームの役職に就いている。(C)Getty Images

ヒートではウェイド(左)らビッグ3をサポートするだけにとどまらず、ファイナルで値千金の活躍を披露。連覇に貢献し、引退後の現在もチームの役職に就いている。(C)Getty Images

 この2010-11シーズン終了後、バティエはFAとなってヒートへの移籍を決める。マイアミを新天地に選んだのは、CEOのニック・アリソンがデューク大時代のチームマネージャーだったこともあるが、それ以上にヒートなら優勝できる可能性が高いとの判断があったからだった。そして、その読みは現実のものとなる。

 エリック・スポーストラHCが「シェーンがいるお陰で、ウチはポジションにこだわらず選手を起用できる」と語った通り、バティエはどんな役割も器用にこなし、移籍1年目の2011-12シーズンから平均4.8点、FG成功率38.7%という数字以上の貢献を示す。そしてオクラホマシティ・サンダーと対戦したファイナルでは、最初の2試合で3ポイント9本、計34点を叩き出してチームを勢いに乗せ、大学時代以来となる優勝を味わうのだ。さらに翌13年のスパーズとのファイナルでも、第7戦で6本の3ポイントを決めて18点を奪取。接戦をものにする立役者の1人となった。
 
 3連覇を狙った14年ファイナルでスパーズに敗れたのを最後に、シーズン中から公言していた通り、現役を引退。「すべてをこのゲームに捧げてきたが、これ以上与えられるものがなくなってしまった。素晴らしい選手生活だったし、何ひとつ後悔することはない」。

 セカンドキャリアでは、手始めに『ESPN』のカレッジ・バスケットボール中継の解説陣に加わったが、17年にヒートのフロント入り。育成・分析部門という、彼の能力にふさわしい分野の責任者を任されている。

 政治に関しては、2016年の大統領選挙を巡る混乱に「嫌気が差した」と語っていて、当面はその気がない模様だ。だが現大統領の振る舞いを見るにつけても、アメリカでも政治家の質の低下は深刻に思える。誠実さと聡明さを併せ持ったバティエのような人間こそ、今の政界に必要な人材ではないだろうか。

文●出野哲也

※『ダンクシュート』2014年12月号掲載原稿に加筆・修正。

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