この件で批判も浴びたウィリアムズのことを考えると、スローンが謝罪を受け入れたことにホッとさせられるとともに、彼らしさを改めて感じさせるエピソードでもある。この頑固さがあったからこそ、歴史に残るコーチになり得た。そして、最後は許しを請う若者の心を受け入れる度量があったからこそ、スローンは誰からも愛され、尊敬されたのだろう。
  ■ジェリー・スローンPROFILE
ジェラルド・ユージーン・スローン。1942年３月28日、イリノイ州生まれ。1965年のＮＢＡドラフト１巡目４位でワシントン・ブレッツ（現ワシントン・ウィザーズ）から指名を受け入団。翌1966年のエクスパンション・ドラフトで指名を受け、創設１年目のブルズに移籍する。1966－67シーズンに平均17.4点、9.1リバウンドをあげオールスターに出場。以後1976年に引退するまで、10年にわたり主力として活躍した。1979年にブルズのＨＣに就任するが３年目の途中で解雇。1985年にジャズのアシスタントコーチに就任し、1988－89シーズンの途中にＨＣに昇格。2011年までの23年の在任期間でプレーオフ進出19回、ファイナル進出２回を誇る。ＨＣ通算成績は1221勝803敗。2020年５月22日、パーキンソン病とレビー小体型認知症の合併症により逝去。

文●杉浦大介

※ダンクシュート2020年８月号より加筆・修正

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