専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
NBA

「大会で優勝するよりも……」セカンドキャリアを祖国とアフリカに捧げるルオル・デンの“願い”

小川由紀子

2020.07.20

 独立国として初めて挑戦した2017年のアフロバスケット(アフリカ大陸選手権)。予選通過は叶わなかったが、現在行なわれている2021年大会の予選では善戦を見せており、プレ予選を4勝1敗で終えたのち、本予選出場の残る1席をかけて、カーポ・ヴェルデ、チャド、ガーナとのプレーオフに挑む。

 ボルやデン、そして現在デトロイト・ピストンズに所属するPFソン・メイカーらは、南スーダンに多く居住するディンカ族の出身。ディンカ族は世界でも有数の長身民族であり、ポテンシャルはある。デンが設立した基金でバスケを始め、現在セネガルでNBAアカデミーに参加している女子選手アブーナ・チョルは、15歳にして身長207cmという有望株だ。

 現在デンが意欲的に取り組んでいるのは、自らがそうだったように、紛争を逃れるべく世界各地に散っている南スーダンの逸材を呼び集めること。彼自身はイギリス代表、メイカーはオーストラリア代表でプレーしているが、移住先で国籍を取得した者もいれば、無国籍状態の者もいる。独立参加選手団の一員としてロンドン五輪に出場した、マラソン選手のグオル・マリアルなどがその例だ。
 
「祖国から離れることを余儀なくされ、そのままどこの国からも認知されていない子どもたちが大勢いる。けれど、その子たちは全員がそれぞれ素晴らしい才能を持っていて、彼らはみな『祖国のために何かしたい』という夢を抱いているんだ。彼らが自分の国を誇りに思えるように、そしてみんながここに戻ってきて、才能を発揮できるようにすること。それが私の願いだ」

 デンが従事するのは自国の連盟だけではない。新型コロナウイルスの影響がなければ今年3月からスタートするはずだった、アフリカ大陸間のクラブコンペティション、パスケットボール・アフリカ・リーグ(BAL)の運営にも参画している。

 つい最近までコート上でボールを追っていたデンにとって、運営側の仕事は初の試みだ。そんななかで、ダラス・マーベリックスやNBAアフリカのフロントを歴任したセネガル出身のBAL会長アマドゥ・ガロ・フォールや、トロント・ラプターズのナイジェリア人球団社長マサイ・ウジリといった、アフリカの先輩たちを師と仰いで貪欲に学んでいるという。
 

DAZNなら「プロ野球」「Jリーグ」「CL」「F1」「WTAツアー」が見放題!充実のコンテンツを確認できる1か月無料体験はこちらから

NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号