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NBA

大事件、躍進、別離……ピアースとウォーカーが紆余曲折を重ねて築いた確かな絆【NBAデュオ列伝|後編】〈DUNKSHOOT〉

出野哲也

2021.03.17

 古巣に戻ったウォーカーは、文字通り水を得た魚だった。エインジとの約束で自己中心的なプレーを封印し、ダーティーワークに率先して取り組み、チームリーダーとして若手選手を牽引。慣れないリーダー役から解放されたピアースにとっても、トレードの効果は大きかった。

 ウォーカー加入後は18勝9敗の快進撃で、セルティックスは4年連続のプレーオフ進出を決める。しかしながら、ウォーカーの存在の大きさがこれほど目に見える形で認識されたにもかかわらず、エインジからの評価は相変わらず低いままだった。シーズンが終わるとフリーエージェント(FA)になったウォーカーは、引き留められることもなくマイアミ・ヒートと契約した(最終的にはサイン&トレードで移籍)。

 シャキール・オニール、ドゥエイン・ウェイドの2大スターの陰に隠れる形ではあったが、優勝を狙えるチームで戦える幸せを感じていたウォーカー。ヒート移籍後、初めてのセルティックス戦でピアースと再会した彼は、旧友の置かれた状況に同情した。
 
「今さらチームの再建計画に関わりたくはないだろうね。今のセルティックスはボールのソロ・アクト(独り芝居)。タイトルのチャンスのあるチームでプレーしたいはずさ。あと何年も待てるほど彼が辛抱強いとは思えない」

 愛着のあるボストンを離れて、ウォーカーは2006年に初めてのチャンピオンリングを獲得。ピアースもウォーカーのように、リングを求めて他チームへ移る選択肢もあったが、そうすることなく3年間の延長契約にサインした。

「往年のセルティックスとは似ても似つかないかもしれないけれど、俺たちは黄金時代を復活させたいと真剣に思っている。俺たちは頂点に君臨しなければならない。誰もが強いセルティックスの復活を待っているんだ」

 その思いは2年後に報われた。2007-08シーズン、セルティックスはケビン・ガーネット、レイ・アレンという2人のオールスターをトレードで獲得。ピアースとの“ビッグ3”が形成され、レギュラーシーズンは球団記録にあと2勝と迫る66勝をマークした。
 
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