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NBA

大事件、躍進、別離……ピアースとウォーカーが紆余曲折を重ねて築いた確かな絆【NBAデュオ列伝|後編】〈DUNKSHOOT〉

出野哲也

2021.03.17

 プレーオフでは意外な苦戦を強いられたが、ファイナルではロサンゼルス・レイカーズを4勝2敗で下しリーグ制覇。そして、その一番の立役者こそピアースだった。第1戦ではヒザを負傷しながらも第3クォーターだけで15得点を叩き出す、鬼気迫るパフォーマンスで勝利に貢献。チームトップの平均21.8点をあげ、憧れだったチームを倒してのファイナルMVP受賞という、これ以上ない成果を収めたのだった。

 2016-17シーズンを最後にピアースは引退。一方のウォーカーは2008年にNBAを去ったのち、ギャンブルがらみの犯罪などを起こした末、2010年には自己破産に追い込まれた。現役時代に稼いだ1億ドル以上の資産を蕩尽してしまったのである。金策のため、せっかくのチャンピオンリングも売却せざるを得なくなった。
 
 そんなウォーカーだが、波瀾万丈の人生が人々の興味を引くからか、近年はメディアに登場することも少なくない。昨年ピアースが「レブロン・ジェームスはリーグ史上ベスト5に入る選手ではない」と語って物議を醸した際も「彼は“レブロンが自分より断然優れている”なんて思っていない。本当にそう信じていると思うよ。あの闘争心の強さを考えたら、全然不思議じゃない」とコメント。ピアースの性格、そして実力を間近で見てきた彼ならではの発言だろう。バスケットボール選手としての立ち位置は全然違ってしまった2人だけれども、若い頃苦楽をともにした仲間としての絆は、今も失われていないのかもしれない。

文●出野哲也

※『ダンクシュート』2006年12月号掲載原稿に加筆・修正。

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